国の強行「異常事態」 早朝の集落に車両続々 辺野古土砂積み込み 名護市安和「何が起きた」住民困惑


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
土砂搬出作業のため国道に並ぶ工事車両=3日午前6時46分、名護市安和

 【辺野古問題取材班】3日午前6時半ごろ、名護市安和の琉球セメント前には約20人が集まっていた。まだ夜が明け切らぬ中、土砂運搬用のクレーン車やダンプカーなどの工事車両約15台がライトをつけたまま国道449号で一時停止していた。琉球セメントの敷地内に入ろうとするのを、土砂投入に反対する人たちが声を上げて止めた。民間施設を利用して土砂投入を急ぐ政府の姿勢に、多くの人は憤り、地元住民も戸惑いを見せた。

 午前7時10分ごろ、土砂運搬用の船が安和桟橋に着岸した。作業員が船と桟橋を行き来するなど、土砂搬出への準備が始まった。午前8時20分ごろ、県警機動隊が琉球セメントの入り口前で抗議する人たちを強制的に移動させ、国道に並んでいた工事車両は約3時間かけて敷地内に入った。

琉球セメントの安和桟橋のゲート前で機動隊に排除される市民=3日、名護市安和

 重機が動きだし、ガラガラと音を鳴らして石材や土砂をベルトコンベヤーまで運ぶ作業が約1時間続いた。午前9時半ごろ、稼働したベルトコンベヤーからそのまま土砂が船に積み上げられていった。

 戦前から安和で暮らしているという80代の男性は散歩中、集まった市民と報道陣に気付き土砂搬出を知った。「基地に賛成する人はいるとは思わない。だけど、仕事にも結び付くから仕方がないのかもしれない」

 通学通勤時間だったこともあり、国道449号では渋滞が発生した。安和集落から歩いて来た80代の女性は「何も聞いていないから何が起きたのか。今までこんな騒ぎはなかった」と戸惑いを見せた。

 土砂を運ぶベルトコンベヤーは何度か停止したり稼働したりを繰り返したが、正午ごろにはいったん作業を終え、船は桟橋から離れた。その直後に2隻目の船が着岸し、土砂を積み込む作業が行われたが、午後2時ごろからベルトコンベヤーが止まった。午後5時50分ごろ、ベルトコンベヤーが動き出すのを待っていたダンプカーの運転手は車両から降り、安和桟橋から出てきた。ダンプカーが桟橋に並んだまま残された。