傍聴席から怒号、拍手も 県民投票反対可決 揺れる宜野湾市民


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名護市辺野古の埋め立て賛否を問う県民投票に関する意見書を巡る市議会でのやりとりを傍聴する市民ら=4日午前、宜野湾市議会

 【宜野湾】「投票権を奪うな」「議長、審理妨害だ。退場させろ」。沖縄県名護市辺野古の埋め立て賛否を問う県民投票を巡り、賛成、反対両方の意見書が提出された4日の宜野湾市議会本会議。傍聴席は80人超の市民で埋め尽くされ、入れずに控室で傍聴する市民もいた。眉間にしわを寄せじっと議場を見詰める者、怒号を上げ抗議する者、拍手を送る者などそれぞれの思いが交差し、傍聴人同士で言い合いになる場面もあり議場は一時騒然となった。

 「報道を見て、居ても立ってもいられず初めて傍聴に来た」という男性(71)=市嘉数=は投票反対の意見書が可決されると、ため息を漏らし議場をにらんだ。「なぜこんなことをするのか。投票することで普天間や辺野古問題を考えるきっかけにもなるじゃないか」と語気を強めた。

 11月30日に県民投票の実施を求める声明文を発表した「チーム緑ヶ丘1207」の与那城千恵美さん(45)は「私たちの声明が全く伝わっていないと感じた」と肩を落とした。「意見を押し付け、市民の声を奪おうとしている。そんなことはあってはいけない」と憤った。

 一方、反対の意見書可決を歓迎する声もあった。辺野古移設を容認してきた「市民の安全な生活を守る会」の平安座唯雄会長(73)=市真栄原=は「今回の県民投票では宜野湾市民について一言も触れられていない」と実施に反対する。与党議員に向けたヤジや怒号に対して立ち上がる場面もあった。普天間の固定化を後押しする結果となることを懸念し「投票して何の意味があるのか。宜野湾が今どういう状況にあるか県民は分かっているのか」と怒気をにじませた。