エッチな歌もてるりん流 加減しち飲みば 立ちゅるはずやたし… 家族が遺作発見 琉歌調500番


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てるりんこと照屋林助さん(国吉和夫撮影)

 斬新な芸風と音楽活動で活躍した戦後沖縄芸能のパイオニア照屋林助さんが書いた春歌集が見つかった。沖縄市の自宅で林助さんの遺品を整理していた次男林次郎さんが11月末に発見した。同作は、性風俗を500番にわたり八八八六調で面白おかしく描いている。林次郎さんは「おやじらしいユーモアにあふれた作品。即興の歌も得意だったがよくこれだけ作ったものだ」と驚きを隠さない様子だ。

 「加減しち飲みば 立ちゅるはずやたし…(ほどよく飲めば 立てたでありましょうに…)」

 同作は1冊のファイルに、ワープロで打たれた春歌が50音順に「あ」で始まる歌から「ふ」で始まる歌まで500番収められ、林助さんのペンネーム「花山」が添えられている。林助さんが書いた二重丸や「酒」「ふざけ」など手書きの文字もあり、歌の出来栄えやジャンルごとに整理を試みたことがうかがえる。ワープロで製作されていることから80年代の作品だと考えられるという。

 島唄解説人の小浜司さんによると、林助さんは1983年4月に春歌集から100番を抜粋した「宝讃歌(ほうさんか)百選」を「南島遊歌研究会」の名前で発行し、林助さんに近い人々に配布したとみられるという。「宝讃歌―」は、縦7センチ、横10・5センチの紙をリングでつづったもの。題字の前に「健康のために歌い過ぎに注意しましょう」と書いたり、「限定会員」「(値段)1000円」と記載をしたり遊び心にあふれている。

 「宝讃歌―」の実物を持つ小浜さんは「さまざまな角度で性風俗をおおらかに描き出している。500番も作ったりわざわざ印刷して冊子にしたり、手の入れようがさすが照屋林助だと感じた」と称賛した。

 林助さんの遺品整理では、1979年に林助さんが中心となって発行し自身も使っていた「沖縄民謡芸能選集(編著照屋林助)」など貴重な資料も見つかったという。林次郎さんは「来年の夏までに整理を終え、春歌集ともども一般に公開したい」と話した。

印字された作品からは照屋林助さんのペンネーム「花山」の文字が確認できる
見つかった照屋林助さんの春歌集を手に目を細める林次郎さん=2日、沖縄市の照屋林助三線店