「新聞界に新しい道」 本紙の沖縄県知事選ファクトチェック報道に高評価 平和・協同ジャーナリスト基金賞贈呈式で大賞受賞


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平和・協同ジャーナリスト基金賞の賞状を受け取る琉球新報の滝本匠東京報道部長(右)=8日、都内の日本記者クラブ

 【東京】反核や平和、人権擁護などに貢献する優れた報道をした個人や団体に贈られる「平和・協同ジャーナリスト基金(PCJF)賞」の第24回受賞作の贈呈式が8日、都内の日本記者クラブで開かれた。大賞の基金賞に選ばれた琉球新報社政治部の「沖縄県知事選に関する報道のファクトチェック報道」を代表して琉球新報の滝本匠東京報道部長が賞状を受けた。

 本紙の大賞受賞は2014年に連載「日米廻(まわ)り舞台―検証フテンマ」以来、4年ぶり2度目。推薦・応募のあった92点の候補作から選ばれた。

 PCJFの岩垂弘代表運営委員は講評で「評価が高く議論もなく決まった。最近フェイクニュースが出て真実が闘っている。知事選で跋扈(ばっこ)している状況の中、琉球新報が(ファクトチェック)報道したことは新聞界に一つの新しい道を開いたのではないかと高い評価だった」と審査経過を説明した。

 受賞した滝本報道部長は「沖縄には以前から『沖縄フェイク』があり、報道してきた素地はあった。有権者が誤った情報で投票することのないようにとの思いで取り組んだ。そうでなければ民主主義の根幹が揺るがされる。受賞を機に広く全国の新聞や放送でもファクトチェックが広がってほしい」と今後に期待した。

 このほか奨励賞の朝日新聞青木美希記者の「地図から消される街」、アジア記者クラブの一連の活動、「沖縄スパイ戦史」製作委員会のドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」、毎日新聞栗原俊雄記者の戦争責任・戦後補償に関する一連の著作、中村由一著・渡辺考聞き書き・宮尾和孝絵「ゲンバクとよばれた少年」の5点にも賞状が贈られた。【琉球新報電子版】