7日に琉球大学で始まった日本科学者会議の第22回総合学術研究集会の一環で、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前などを訪ねる「エクスカーション」(現地視察)の案内文に「ゴボウ抜かれ体験も可能」との表現があった。これに対し、会員の松島泰勝・龍谷大教授が「真剣に闘っている人々を愚弄(ぐろう)するもの」と批判する。辺野古で座り込む市民からも「現場のことを理解していない表現で悲しい」などと疑問視する声が上がっている。
研究集会は9日までで、10、11日にエクスカーションを行う。実行委員会(屋富祖建樹委員長)は当初、辺野古や東村高江を訪れるコースを設定。希望者少数で実施しないことが決まったが、コース名を「辺野古(ゴボウ抜かれ体験も可能)・高江」と表現し、参加者を募っていた。
松島教授は8日の分科会で「学知の植民地主義批判」と題し報告した。その中で「ゴボウ抜かれ体験」との文言を問題視し、「基地闘争をちゃかしているとの印象を与える」と指摘。辺野古で座り込みに参加している市民からも「好きでごぼう抜きされているのではない」との声があったとし、「(市民の)思いを真摯(しんし)に聞くことが学者としての最低限のモラルではないか」と強調した。会場から異論や批判はなかった。
会場にいた実行委事務局長の亀山統一(のりかず)・琉大助教は3日の取材で「『ごぼう抜き』と言われる排除は非人道的不法行為。それを実体験して研究活動、社会活動に生かしていくという趣旨だ」とし、「ゴボウ抜かれ体験可能」との文言は「問題ない」との認識を示した。8日の分科会会場でも本紙取材に対し、「この前話した通り」と答えた。