【ハワイ】村田グラントさん 感謝の初独演会 安冨祖流朝一会USA会長 親、師匠に思い込め


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独演会で「本散山節」を演奏する師範の村田グラント定彌さん=11月17日、ホノルル市のハワイシアター

 琉球古典音楽安冨祖流絃聲会ハワイ支部、琉球古典安冨祖流音楽研究朝一会USAの会長で師範の村田グラント定彌(さだみ)さんによる初の独演会が11月17日、由緒あるホノルル市のハワイシアターであった。独演会のタイトルは「報恩謝徳」。

 「親に感謝、師匠に感謝、御万人に感謝」という村田さんの気持ちが込めらている。村田さんの師匠で人間国宝(琉球古典音楽)の照喜名朝一さんと長年の友人である民謡歌手の前川守賢さんが沖縄から駆け付け、舞台を盛り上げた。

 第1部は独唱「本散山節」で幕を開け、「作田節」「赤田風」「高平良万歳」「本花風」が演奏された。第2部は、妻で教師の智香子さんと「夫婦船」を、「バチクヮイ節」「親の真心」、舞踊「遊び庭」「谷茶前」「鳩間節」「川平節」などを披露した。

 独演会で村田さんとの思い出や思い出の曲を披露した照喜名さんは「彼の人柄が多くのサポーターを集め、朝一会USA支部をここまで大きく強くした。みんなの心が一つとなった素晴らしい公演だった」と話した。

 村田さんは県系4世で、「サンダー」の愛称で親しまれている。ハワイ生まれハワイ育ちだが、日本語とウチナーグチを流ちょうに話す。幼い頃から日本文化に興味を持ち、日本語、日本舞踊、琉球舞踊、箏を学んできた。12歳からヘンリー・政忠・比嘉先生から民謡の歌三線を習い始める。当時、1世や帰米2世が話すうちなーぐちに興味を持ち、彼らとの会話や沖縄芝居のビデオを繰り返し視聴することで、うちなーぐちを習得したという。

 1980年、ハワイ公演に訪れた照喜名さんの歌三線に衝撃を受け、弟子入りを申し入れて83年に入門、琉球古典音楽を本格的に始めた。

 当時、ハワイには安冨祖流はなく、村田さんは1人からスタートした。琉球古典芸能の登竜門「琉球古典芸能コンクール」(琉球新報主催)での合格をはじめ、教師・師範免許を取得し、安冨祖流初の海外指導者として琉球芸能の道を歩んできた。1997年に琉球古典音楽安冨祖流絃聲会ハワイ支部、琉球古典安冨祖流音楽研究朝一会ハワイ支部を発足。現在、ハワイ州のホノルルをはじめマウイ島、カウアイ島、ハワイ島コナに弟子や孫弟子が200人余、ロサンゼルスに門下生20人が在籍する大きな支部に発展した。2015年には、琉球古典芸能コンクールで県外から初となる審査員を務めた。
(比嘉具志堅華絵通信員)

村田グラント定彌さんによる初の独演会の出演者と関係者ら=11月17日、ホノルル市のハワイシアター