辺野古活断層、3月調査 地形・地質 専門家ら着手表明 危険性確認の資料に


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 米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古の新基地建設予定の海底に、活断層がある可能性が指摘されている問題で、立石雅昭新潟大学名誉教授は9日、来年3月に応用地質研究会で辺野古活断層と楚久活断層の地形学的および地質学的調査に着手すると発表した。政府はこれまで活断層の存在や海底地盤の危険性を認めておらず、研究者らによる緻密な調査と集積データは辺野古沿岸域の特徴を知る上で貴重な基礎資料となる。立石名誉教授は「住民と共に進める科学運動にしたい」と、地域住民の協力を求めた。

辺野古埋め立て地の地盤の危険性について語る立石雅昭新潟大名誉教授=9日、琉球大学

 琉球大学であった日本科学者会議第22回総合学術研究集会で明らかにした。調査は当初、今秋の予定だったが、台風の影響で来年3月に延期になったという。

 活断層は過去に地震を起こした形跡があり、将来も地震を起こす可能性がある断層で、基地建設の場所に適するか疑われる。今後必要な調査について立石名誉教授は(1)辺野古および楚久活断層の地形学的調査(2)楚久活断層の海域への延長を確認する音波探査(3)新しい時代の地塊の変動を検討する海食微地形の調査―を挙げた。

 同氏は調査には一定の基礎知識を備えた地域住民の情報が必要だとし、「周辺陸地で不思議な地形を見つけたり、(辺野古沿岸域の)崖に残っている化石を見つけたりしたら連絡を」と呼び掛けた。

登壇者の講演に耳を傾ける参加者ら

 同じく活断層の危険性を指摘してきた琉球大学の加藤祐三名誉教授は「活断層が認められても即工事中止とはならない。新基地建設にとって軟弱地盤は当面の大問題であり、活断層は中長期的な大問題だ」と強調した。軟弱地盤の地盤改良には多額の費用がかかることにも触れ「普天間飛行場はいつ引っ越しできるか分からず、ずっと先まで現状のまま」とし、普天間飛行場の撤去と辺野古新基地建設の中止を訴えた。