設立から15年戦ってきたFC琉球をJ3優勝に導いてきた指揮官、金鍾成監督がチームを去ることが12日、球団から発表された。就任当初から掲げてきた「3対1で勝つサッカー」がチームの形になるまで時間はかかったが、3年目に花開き、J3で20勝6分け6敗の勝ち点66でリーグの頂点まで上り詰めた。ホーム戦無敗も輝かしい記録の一つ。この勢いをJ2でも発揮してくれることを期待したファンからは「金監督のサッカーを見られないのは残念」など不安の声が上がる。一方で、金監督は球団ホームページで指導者として「新たな場所でのスタート」する意味合いのコメントを残しており、別のファンは「監督には感謝しかない。次のステージでも頑張ってほしい」と、さらなる活躍を期待している。
2016年、成績不振から3分の2以上の選手が退団した琉球を、1からつくり上げ、わずか3年でJ3王者まで育て上げた金鍾成監督。巧みな指導ももちろんだが、落ち着いた性格で「ジョンソンさん」と選手たちから呼ばれるなど、人望も厚かった。その金監督が、「新たな場所でのスタートに少なからず不安も感じているが、指導者として新しい発見をしていける事に期待をしている」と、退団を決意した。
サッカー業界では遅咲きの52歳で初めてプロチームの監督を務めた。就任当時のシーズンは8位。攻撃的サッカーを目指すも、攻守がかみ合わず結果が残せなかった。
大局的な金監督の見方が選手に浸透したころから、ファンを喜ばせるサッカーになり、優勝を決めた試合には約8000人が詰め掛けた。
大きな功績を残したが、「選手が主体的に考えて努力したおかげ」と、監督自身が目立つことはなかった。一方で、シーズン終了後には「どのチームでも結果を出せるのがプロだ」と話し、自身のキャリアアップをうかがわせるようなことも話していた。
退団のコメントでは「琉球の仕事は今年をもってひと区切りし、再スタートする事に決めました」としつつも、今後の琉球の活躍を「共に見続けていきたい」としている。
公式発表の前、金監督自ら選手らに退団の意思を伝えた際、号泣する選手もいたという。それほど、選手らと信頼関係を築いていた監督だった。