タブー視しないで 高齢者、障がい者の性の問題


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タブーを乗り越え、福祉を時代の魅力ある産業へをテーマに行われたパネル討議=9日、浦添市牧港のポート・ヒロック

 タブー視されがちな高齢者や障がい者の性の問題について考え、ビジネスにつなげられないかを検討する琉球大学国際地域創造学部の特別公開講座「いきいきらいふ寄付講義福祉ビジネス論」が9日、沖縄県浦添市牧港の有料老人ホームポート・ヒロックで行われた。「福祉を必要としている人の性のビジネス」について三つのグループに分かれ議論したところ、具体的なビジネス案までは出せなかったものの「グッズやサイトがいやらしさを強調しているのは疑問」などの意見が上がった。

 講座は学生など17人が参加した。アダルトグッズメーカーのTENGA(東京)の広報チームマネージャーの西野芙美さんとNHK報道局科学・文化部の国枝拓記者がそれぞれ基調講演した。

 西野さんは「高齢者や障がい者の性欲について、タブー視というよりもそもそもあると思われていない」と指摘。一方で、大阪の百貨店でアダルトグッズの期間限定ショップを展開したところ、幅広い年齢の人たちが2週間で1500人来店し、売り上げ目標の4倍を達成したという。「隠れたニーズはあるが知る場がない」と述べた。

 一方、夕方5時台の全国ニュースで、高齢者の性をテーマに報道した国枝記者は、高齢者施設で女性職員がセクハラに遭うケースがあることから、アダルトグッズを施設内で販売することになった事業所を紹介。また入所者の恋愛について報道し、大きな反響があったという。

 「性について語ることは抵抗感があり、自分の経験を棚上げできない。しかし身近なことであり、人として当たり前の本能。向き合うべき問題だと思う」と述べた。

 引き続き行われたパネル討議には2人に加え、琉球大学国際地域創造学部の荒川雅志教授、福祉事業所を全国展開するいきいきらいふの福住尚将(なおゆき)取締役が登壇した。

 運営する福祉事業所内でアダルトグッズを販売している福住さんは「『ウエルネス』というより豊かな人生と捉え、福祉もビジネスとして他業種も巻き込めば革新が起こると思う」と語った。