県民投票実施のための補正予算を否決した宜野湾市議会では、採決を前に県民投票を巡る討論が行われた。実施に反対した与党市議は「県民投票条例に普天間飛行場の危険性除去について全く明記がなく、飛行場の固定化という最悪のシナリオになる事態に配慮がない」と懸念を示した。野党市議は「辺野古に基地を造らないと普天間が返ってこないと考えるのは思考停止だ。住民の投票する権利を奪ってはいけない」と反論し、意見が真っ向から対立した。
予算案への反対討論に立った桃原朗氏(絆クラブ)は、県民投票について「市民の心情は賛成、反対の二択で結論を出せるほど簡単ではない」と強調。宮城司市議(絆輝クラブ)も「基地被害を受けている市民に賛成か反対かの踏み絵を踏まそうとしている」と批判した。
それに対し、賛成討論した屋良千枝美市議(社民党)は「民意に反し(辺野古の埋め立て)工事が進むことに恐ろしさを感じる。投票は県民の意思を示す絶好の機会だ」と反論。玉城健一郎市議(結・市民ネットワーク)は「県民投票と同日に普天間の危険性除去についての市民投票をしてはどうか」と提案した。
住民の投票権については、宮城市議が「県民投票は国民が持つ直接請求権ではあるが、内容は国防や安全保障に関わることで一地方自治体の住民投票にそぐわない」との見解を示した。一方、玉城市議は「住民の直接請求で制定された条例を否定し、市民の投票権を奪うことは住民自治の否定だ」と反発した。