琉球新報短編小説賞 石垣貴子さん受賞


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石垣貴子さん

 第46回琉球新報短編小説賞の最終選考会がこのほど、東京都内で行われ、石垣貴子さん(58)=那覇市、塾講師=の「風の川 水の道」が選ばれた。佳作は該当作がなかった。

 応募作32編の中から2次の予備選考で4編に絞り又吉栄喜氏(芥川賞作家)、湯川豊氏(文芸評論家)、大城貞俊氏(元琉球大学教授、詩人・作家)が最終選考を行った。

 「風の川 水の道」の主人公は35歳の女性。夫の転勤により、小学校4~6年生のころ暮らしていた町へ移り住む。主人公は小学校への登下校の道のりに流れていたはずの小川の記憶をたどり、助けてもらった自転車店の主人や一緒にラブレターを書いた友人など、当時の思い出を振り返る。

 選考会で又吉氏は「記憶がテーマで、主人公の子ども時代が躍動している」、湯川氏は「(原稿用紙)40枚では多くは書けないが、小さな物語なので小説になり得た」、大城氏は「破綻のない美しい文章。何げない日常の中に命を発見している」と評価した。贈呈式は2月1日、那覇市の琉球新報ホールで開かれる。