【宜野湾】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票を巡り、同飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長は25日、市役所で会見し、投票実施のための予算執行は行わず、投票事務を実施しない意向を表明した。松川市長は理由について同市議会が関連予算を否決したことを挙げたほか、条例案などに普天間飛行場の危険性の除去についての対処法が盛り込まれておらず「投票結果によっては同飛行場の固定化につながる懸念が極めて強い」と説明した。首長が投票事務を実施しない意向を表明した市町村は、宮古島市の下地敏彦市長に続き2例目。
宜野湾市議会は20日の本議会で県民投票の事務経費を盛り込んだ補正予算案を賛成少数で否決した。市当局が再び提案した再議も否決している。
松川市長は「市議会の意思は極めて重い。今後の市政運営を考えた場合、市議会との信頼関係は不可欠であり、その意に反して事務を実施することはいたしかねる」と述べ、市議会の判断に沿って決断したと述べた。
その上で地方自治法の定めで義務費を支出できる原案執行権について「行使しないという大変厳しい苦渋の決断をした」と説明した。県からの勧告があった場合にも判断を覆すことは難しいとの見解も示した。
県条例が定めた事務を実施しないことに対する法的解釈については「義務経費ということで予算化し、議会に提出したので、法律上、市としてやるべきことは行った。違法とは考えていない」と述べた。
その一方で、条例の第11条2項で「広報活動及び情報の提供は、客観的かつ中立的に行うものとする」とうたわれていることに触れ「埋め立て反対の知事に、そういうことが可能なのか大きな懸念がある。知事は直接辺野古の方にも出向いている。どちらかというと(知事が条例に)抵触するのではないかという憤りがある」と批判した。
県民投票の補正予算案が否決され投票実施が不透明なのは、宜野湾、宮古島のほか、石垣、沖縄、糸満、うるま、与那国の6市1町。与那国町議会は26日に再議が行われる。
糸満とうるまでは、再議などの日程が決まっていない。沖縄と石垣は、市長が予算を執行するかどうか判断を示していない。