重量挙げ男子日本代表チームの沖縄合宿が、国頭村のくいなエコ・スポレク公園内クラブハウスで8日から始まっている。合宿には県出身の糸数陽一(豊見城高―日大出、警視庁)と知念光亮(豊見城高―沖国大、いちご)らが参加している。2020年の東京五輪に61キロ級での出場が有力な糸数は選考レースが本格化する今季に向け、練習に余念がない。大学卒業後、社会人選手として活動し始めた知念だったが、昨年はけがに泣かされ、思うような成績が残せなかった。けがも回復したことしは自己ベスト更新に向け、練習に力が入る。
◆東京五輪へ「進」の一字 糸数
東京五輪で重量挙げ日本代表最有力の糸数陽一は、選考レースが本格化する今季に向けて年末から激しいトレーニングをし、体づくりに余念がない。今年の目標は「進」の一字だ。「進化し、自分にとって一歩でもいいから進む年にしたい」と地元沖縄から、今季の活躍を誓う。
昨年4月に腰を痛めた。過去にそれほど大きなけがをした経験がなかったため、最初は受け入れがたく、「何でこの時期に」と悩んだ。それでも少ない時間で質の高い練習を考え、練習を重ねながら調子を戻していった。
新階級の61キロ級に変わった11月の世界選手権では8位。試技6本中5本の成功は想像以上の出来だったが、「自分の中でセーブして攻めきれなかった。もっといけたので悔しさはある」と振り返る。その後に行われた全日本社会人選手権大会ではトータル300キロを挙げて優勝するなど、調子を上げてきた。
年末年始に福島県で行われた、五輪金メダリストの三宅義信さんの強化合宿に参加し、体づくりに取り組んだ。今年初の代表合宿では沖縄でしかできない砂浜での走り込みなどで体をいじめ抜く。「沖縄に帰ってきた感じはあるが、ここから(調子を)上げていかないといけない」と表情を引き締める。2月には五輪代表選考を兼ねる今年最初の大会がタイで行われる。決まれば2度目となる代表選出とその先を見据え、「リオデジャネイロの4位に満足していない。東京では最高のパフォーマンスで皆さんに最高の恩返しをしたい」と勝負の1年に挑む。
◆けが癒え、「世界で勝つ」 知念
昨年、故障で思うような成績を残せなかった知念光亮はけがも癒え、自身のトータル自己記録の390キロ超えを目指す。「自己ベストを超えて、世界の舞台で勝ちたい」と闘志をみなぎらせる。
大学時代まで県内で競技を続けた知念は、卒業後に自ら環境を変えようと、メキシコ五輪銅メダリストの三宅義行さんが監督を務め、強豪選手が集まるいちごに入社した。
昨年5月の全日本選手権で男子105キロ超級の3位に入ったが、10月の福井国体でアップ中に起きた右足の太ももの肉離れに悩まされた。社会人になり、練習に専念できるようになった環境もオーバーワークにつながり、別のけがも負った。「与えられた練習メニューをこなす自分のペースを立てられなかった」と反省するも、「いちごで競技ができて、学ぶこと、勉強できることがたくさんあった」と成長も実感する。
12月には本格的な練習を再開し、7~8割は元に戻した。リハビリの期間も「何をしたらいいのかを考えて、(練習の)自分のペースを考えるようになった」と無駄にせず、練習への取り組み方を再確認した。
年末から沖縄に帰り、合宿に向け調整してきた。「母の出身の与那国のカジキが一番食べたくて、おいしかった」とリフレッシュもできた。年の初めに、「ベストをしっかり取って、395、400キロと自己新を目標にやっていきたい」と意気込んでいる。