昨年8月に台湾であった少年野球の「第10回BFAU12アジア選手権」で銅メダルを獲得した侍ジャパンU12日本代表と、沖縄県選抜、八重瀬町育成会、浦添・中城ブロック選抜チームが対戦する交流会が13日、ANA BALL PARK浦添(浦添市民球場)であった。第1試合で八重瀬町育成会が侍ジャパンに逆転サヨナラ勝ちするなど大盛り上がり。3試合は大勢の観客が詰め掛けて応援歌も歌われ、公式戦さながらの盛り上がりだった。好プレーには双方のベンチ、スタンドから拍手が送られ、互いの健闘をたたえ合った。(嘉陽拓也)
侍ジャパンU12が地域の選抜チームと交流会を行うのは初めてという。県内から代表入りした玉城功大(牧港マリナーズ)、稲福倫汰(坂田ビクトリーズ)、真栄里修一(富盛チーターズ)とチームメートが交わした「中学入学までに沖縄でまた野球をやろう」との約束を、保護者や県内野球団体の有志の努力で非公式の交流会として実現。3選手が所属する地域の選抜チームが侍ジャパンと対戦した。
1試合目は侍ジャパンと八重瀬町育成会が対戦。最終七回に2点を追う八重瀬が、1死から3連続四球でつかんだ好機に、2者連続安打で5―4で逆転サヨナラ勝ちした。4番で勝利を決める外野への適時打を放った前盛輝斗(東風平星)は「代表選手は走塁も打撃もすごかった。自分は走者を返すため外角の直球を振り抜いた」とうれしそうだった。黒島安晴監督は「うちは150パーセントの力でしたよ。子どもらは(きょうの勝利を)自慢するはずね」と「大金星」に笑みがこぼれた。侍ジャパンの先発投手として登板した真栄里は地元チームに敗れたが「悔しさよりも、よくやってくれた気持ちが大きい」と笑顔を見せた。
侍ジャパンは続く県選抜戦に、稲福の左越えの2点ランニング本塁打などもあって3―1で勝利。四回からの2イニングを無失点で切り抜けた県選抜の西原一芯(浦添タイガース)は「スイングスピードが速いので制球重視だった。緊張したけれどピンチで抑えられたのは次につながる」と自信を得た表情だった。
第3試合は侍ジャパンが稲福や玉城らの継投により7―2で浦添・中城ブロック選抜を下した。
侍ジャパン「監督代行」を務めた保護者の宇野誠一さんは「仁志敏久監督から『ノーサインで』との伝言と、沖縄の子らのうまさで、ヒット10本以上でも得点が伸びなかった。八重瀬に負けた試合は安打数で勝負は決まらず、作戦がいかに重要かということを選手が理解したと思う」と語った。試合中もベンチは和やかなムードで「ここまで観客が集まる沖縄はすごい。公式試合ではないにしても一つ負けたのは仁志さんに怒られるかな」と苦笑いした。
久しぶりに代表メンバーとプレーした玉城、稲福、真栄里の3選手は「みんな身長も伸びてレベルアップしている。追い越されてしまうかもという、いつもと違う緊張感がある」と負けていられない様子。中学進学後は3人とも硬式の「浦添ボーイズ」に入る予定で「次のU15も目指します」と決意を新たにした。