辺野古の名物、復活 レストラン「ワシントン」 タコス15年ぶり販売 活性化願い味引き継ぐ


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辺野古区のレストラン「ワシントン」でタコスとタコライスの販売を再開した、玉利朝輝さん(左)と明美さん

 【名護】1959年に創業し、2000年まで営業していた名護市辺野古のレストラン「ワシントン」が12日から、名物のタコスとタコライスの販売を15年ぶりに再開した。初代の玉利栄次郎さん(82)とトヨさん(81)夫妻から、味を引き継いだ長男の朝輝さん(60)と妻の明美さん(59)が皮やミンチ、ソースもすべて手作りの味を復活させた。経営が軌道に乗れば、今後ほかのメニューも復活させる予定で、辺野古区がにぎわい、活性化する将来を描いている。

 タコスの注文が入ると、手作りの皮を油で揚げ、厨房は香ばしい香りに包まれた。手際よく明美さんがミンチや野菜、チーズを挟む。明美さんは栄次郎さんから教わり、50年前から続くこの味を受け継いだ。

販売が再開されたタコス。50年以上前の味をそのまま受け継いでいる=15日、名護市辺野古の「ワシントン」

 1956年、辺野古区の一部が軍用地に接収され米軍キャンプ・シュワブが建設されることを知った栄次郎さんは、59年に仕事を求めてワシントンを開いた。トヨさんと二人三脚でレストランを切り盛りし、米兵でにぎわう街は活況を呈した。トヨさんは朝輝さんを抱っこしながら毎日店先に立った。栄次郎さんとトヨさんは、米兵でにぎわった辺野古の街を昨日のように覚えている。「あの時はすごかったよ。1日2回パーマ当てよったよ」と、辺野古の街が潤っていたと振り返る。朝輝さんは「今の自分がいるのは、両親が米兵相手に商売していたから。シュワブがあったから、子どもたちを育てることができた」と感謝の気持ちを両親にささげる。そんな朝輝さんがタコスとタコライスの販売を再開したのは、辺野古で飲食できる場所を増やすことで、昔のように多くの人で辺野古がにぎわうと考えているからだ。

 ワシントンの周辺に昨年、バーやタトゥーショップもオープンした。今後ダンスバーもオープンする予定で、朝輝さんが手ほどきする。「たくさん店ができることで、米兵をはじめとした多くの人が辺野古を訪れるようになる。一歩一歩始めたい」と意気込む。

 朝輝さんと寄り添うように明美さんも「辺野古に来たら楽しいことがあると知ってもらいたい。新基地とは関係はなく、辺野古のいいところを見てほしい」と笑顔を見せた。