桜、台風で35本倒木 まつり控え北部2市町 本部、来場者に協力金要請


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台風の影響で根っこから倒れた桜の木=16日、名護城公園

 【北部】昨秋の台風24、25号の影響で北部の桜に倒木や開花遅れが見つかっている。本部町で約30本、名護市では5、6本が倒れているのが確認された。今帰仁村では、倒木はなかったものの枝折れもあった。北部各地で桜まつりのシーズンを迎えているが、本部町では今年から桜まつりに訪れた来場者から桜の植樹などのための協力金を初めて求めるなど、各市町村で桜の管理について模索が始まっている。

 北部地域の桜は「日本で最も早い開花」とうたわれ、桜の時季には大勢の観光客が訪れる。名護市では大正初期や昭和初期から植えられ始めたといわれ、樹齢100年を超える桜もある。一般的に桜の寿命は80年ほどといわれ、全体的に高齢化が進んでいる。桜の高齢化については、北部地域で20年ほど前から指摘されてきた。市町村のボランティアがそれぞれ保護活動をしてきたが、まとまった対策などは取られておらず、共通の管理基準を定めようという声が関係者の間で高まっている。

 本部町は、桜まつりの来場者からの協力金を、桜の維持管理の財源とする考えだ。協力金は車両ごとで、普通乗用車、軽自動車、自動二輪や原動機付き二輪で500円を求める。八重岳の桜の保全や倒木があった場合の補植、まつりの運営費などに充てる。これまではボランティアの協力を得るなどして除草などに取り組んできたが、その費用を補うために導入を決めた。平良武康町長は「協力金は未来への投資だ。次の世代のために備えとして使いたい」と話した。

台風の影響で倒れたとみられる桜の木=19日、本部町の八重岳

 名護市では2012年度、樹木医による診断や聞き取り調査で402本の桜の健康度調査を実施した。結果は「不良」が168本と最も多く、全体の41%を占めた。「やや不良」が144本の36%、「著しく不良」が63本で16%と続いた。5%の20本が「良」、2%の7本が「枯死寸前」だった。「不良」が多い結果となったが、桜は毎年花を咲かせているため、維持管理に対する共通認識や危機感が全体に広がっていないという。

 市は今後、県や、関係団体との調整を重ね、今後の管理計画をまとめることを目標にするが、具体的な取り組みはこれからだ。

 今帰仁村では城跡の桜214本を対象に樹木医に依頼し、病害虫の駆除や剪定(せんてい)などを実施している。現在、桜が枯れているという報告はないが、村の担当者は「健康度調査を今後、検討したい」と話した。