自民会派に亀裂走る 県民投票3択可決 会長説得も一致見ず


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 沖縄県名護市辺野古の新基地建設の是非を問う県民投票を3択に改正する案を巡り、県議会の自民党会派は賛成、反対、退席に割れ、改正案は全会一致の可決とはならなかった。自民党県連の照屋守之会長を先頭に役員が24日以降、反対議員の説得を続けてきたが意見の一致を見ず、照屋氏は責任を取って辞職届を出した。自民会派内に亀裂が走った。

 24日の県議会各派代表者会に出席した照屋氏は3択とする議長提案に同意することを表明し一気に全会一致の機運が高まっていた。しかし自民会派内では異論が噴出しており、県連会長が3択案に同調した後も不協和音は収まらず、29日の臨時議会を迎えた。

 条例案に対する採決方針について自民党県連の役員らは、本会議での改正案提案時、委員会、本会議採決という手続きの度に「県側の説明を聞いてから」を連発、会派内での調整に苦慮する様子をうかがわせた。県民投票の条例改正案が付託された県議会米軍基地関係特別委員会では、自民の3県議が厳しい質問を県執行部に浴びせ続けた。

 委員会採決では自民県議4人が退席し、全会一致で可決した。自民県議の一人は「改正案に反対している仲間を本会議採決までに翻意させ、退席してもらって全会一致とする努力をしていた。反対して全会一致が崩れ、一番困るのは5市長だから」と明かした。

 午後4時半すぎ、自民会派室から県議らが続々と出てきた。「党議拘束はない」。県連役員による調整は不発に終わった。本会議の議場では軍特委員長の仲宗根悟氏が報告している間も、照屋氏が県連の中川京貴副会長とメモをやりとりし、最後まで調整する様子が見られた。採決直前、照屋氏が頭を抱えるしぐさもあった。採決では自民会派から反対や離席した議員が続出した。照屋氏は自民県連役員らの記者会見を前に県議会を後にした。その際、記者団に対し「全会一致にできなかったことに深く責任を感じている。私の進退の問題だ」と話し、県連幹事長に辞職届を出したことを明かした。

 5市長への対応を聞かれると「予定通り3択でやっていただきたい、全県民に投票の機会を与えていただきたい、それだけだ」と力なく話した。

 反対に回った自民県議の一人は「『党議拘束』がない、それが我々の良さであり分裂ではない」と強調した。一方、与党県議は「彼らの採決行動が賛成・反対・どちらでもないに割れている」と3択案になぞらえて皮肉った。「条例改正に『反対』した自民党県議は、安倍政権に重きを置き、『賛成』した県議は5市長に向き合ったのだろう」とおもんぱかった。
(山口哲人、明真南斗、中村万里子)