【島人の目】沖縄芸能の指導者派遣


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 米各地にある県人会では琉舞、三線、エイサーなどが盛んに行われているが、その多くに指導者がいない。動画を見ながら練習をしており、次世代への継承が難しいと悩みを抱えている。

 「世界のウチナーンチュの日」に伴い、県が指導者を派遣し交流を図る沖縄文化芸能派遣事業がオハイオ州県人会友の会で実施された。イベントに派遣され花を添え、芸能の粋を見せたのは演出家であり音楽家の平田大一さんと、諸見里青年会の花城悠さん(26)、砂川広平さん(26)、伊礼廉太さん(21)の4人。平田さんは、イベントを演出するとともに、横笛や太鼓を演奏した。地元オハイオ州のエイサーグループに、地元の子どもエイサーグループも参加させ、ユーモラスな楽しい振り付けを教えた。

 ステージでの子どもたちの一生懸命な演舞に会場から大きな声援が送られていた。平田さんは「エイサーを通して文化継承の兆しを見ることができ、そのブリッジイベントは次につながる」と熱い思いを語っていた。

 一方、諸見里青年会のエイサーを動画で見ながら練習してきた友の会エイサーグループにとっては、念願の直接指導を受けることができ、3人による指導の下で練習を重ねた。イベントでは、3曲続けて熱演し、切れのある力強い演技で会場を沸かせた。諸見里青年会のメンバーと共に友の会エイサーグループは、練習の成果を発揮していた。指導者の4人は、地元の高校と小学校でもエイサーなどを披露し、沖縄伝統芸能のアピールに一役買った。今後も沖縄文化芸能派遣事業が継続し、各県人会が琉球伝統芸能の素晴らしさを再認識できる機会になればと願う。
 (鈴木多美子、バージニア通信員)