米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)で5日午前9時ごろ、韓国の米軍烏山基地に配備されているU2偵察機1機が両主翼に付け、離陸時に外すべき地上走行用補助輪のうち左側の補助輪を付けたまま離陸した。U2は1時間20分後の午前10時20分ごろに同基地に緊急着陸したが、着陸時に基地内で切り離されたとみられる。U2は国道など民間地上空を飛行しており、落下していれば重大事故につながっていた恐れがあった。
長い翼を持つU2偵察機は、地上ではバランスを保つため両翼の下に補助輪を付けて走行する。離陸の際には切り離して飛び立つ。関係者によると補助輪は長さ120センチほどで細長く、重量は10キロ程度とみられるという。
離陸の際、U2は右翼の補助輪は切り離したが、左翼の補助輪を付けたまま飛び立った。緊急車両が待ち構える中、同機は嘉手納基地へ緊急着陸した。着陸時の様子を捉えた映像では、接地時に左側の補助輪が外れたように見える。
沖縄防衛局の職員が、左側の地上走行用補助輪を付けたまま離陸するのを目視で確認した。補助輪が基地の外に落下する可能性があるとして、沖縄市など周辺自治体に連絡。自治体は消防や警察に情報確認するなど対応に追われた。防衛局は午後5時までに米軍から補助輪を「安全に回収した」という連絡を受けた。
県幹部は「落下事故の一歩手前だ」とし、県は6日以降、対応を検討する。周辺自治体でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」も引き続き情報収集する。
第18航空団は本紙取材に「当該機体は安全に滑走路へ戻り、補助輪は保守管理員により回収された」と説明した。原因については回答がなかった。