沖縄防衛局、久辺3区に補償新案 定住、育児など4項目16素案の振興策


この記事を書いた人 Avatar photo 高良 利香
沖縄防衛局が辺野古区に提示した振興策案の資料

 【名護】米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、辺野古区が国に個別補償などを求めていた件で、沖縄防衛局が久辺3区(辺野古、豊原、久志)に対し、代替策として新たな振興策案を説明していたことが6日までに分かった。振興策案は定住促進、子育て支援、高齢者支援、人材育成の4項目16素案。

 関係者によると、1月24日に開かれた防衛局と辺野古区の意見交換で防衛局が「久辺3区コミュニティ基金を用いた地域振興策のアイデア(たたき台)」と書かれた資料を配布した。防衛局は5日、久志区、豊原区にもそれぞれの区長を通して同案を説明した。資料は「実現可能性を含めて検討必要」とした上で、4項目ごとに住宅新改築費助成やWi―Fi整備、ベビーシッター助成、運転免許返納者へのタクシー券配布、デイサービス利用費助成、高校等通学費助成など具体例が挙げられている。

 辺野古区は新基地建設を条件付きで容認するにあたり、区民への個別補償を求めてきた。2014年9月には豊原区、久志区と共に政府に個別補償などを求める要望書も提出している。新基地について豊原区は条件付きで容認しており、久志区は反対している。

 一方、防衛局は18年9月に「個別補償はできない。代替案を検討する」と辺野古区に伝達、地元住民から反発が広がっていた。

 辺野古区の島袋権勇行政委員長は「防衛局から説明を受け、これから検討してく段階だ」と語った。防衛局は「区とのやりとりについては回答を差し控える」とした上で「久辺3区から頂いている『住民への補償的施策の実施』については法令の範囲内で実質的に区民に還元する代替的方策を実施していく」とした。

 久辺3区コミュニティ基金は08年度に6億円で開始し、再編交付金を原資に交付金を支出してきた。29年度までで、17年度末時点の残高は約3億5千万円。