ヘイト投稿「名誉毀損」に 沖縄・石垣区検が略式起訴 全国初適用か


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 【石垣】インターネット上の匿名掲示板で、在日韓国人の自営業男性(35)=沖縄県石垣市=を「クソ朝鮮人」「在日は恐ろしい」などと誹謗(ひぼう)中傷し名誉を傷つけたとして、石垣区検が市内の男2人を名誉毀損(きそん)罪で略式起訴していたことが6日、分かった。石垣簡裁は2人にそれぞれ1月17日と同24日付で、罰金10万円の略式命令を出した。民族差別的なヘイトスピーチを含む、ネット上の匿名の誹謗中傷で侮辱罪が適用されたケースはあるが、より罰則が重い名誉毀損罪は、全国でも初めてとみられる。男性は民事訴訟提起も検討している。

 男性は匿名で投稿できるネット掲示板上で自身の実名をさらされた上で、「石垣島一の詐欺師」「在日の恥さらし」「韓国へ帰れ」などのヘイトスピーチを含む誹謗中傷を受けた。2016年2月に八重山署が被害届を受理した。同署は18年11月に被疑者不詳で書類送検。石垣区検が捜査を進め市内に住む男2人をそれぞれ19年1月15日付、同23日付で略式起訴した。

 ネット上の匿名でのヘイトスピーチを巡っては、18年12月に川崎区検が侮辱罪で60代の男を略式起訴している。ヘイトスピーチに詳しい白充弁護士は「より踏み込んで、毅然(きぜん)とした対応を取ったと言える」と評価した。ヘイトスピーチに絡む立件が続いていることには社会的な機運の盛り上がりに加え、「個人への誹謗中傷が増えているほか、ヘイトスピーチの発信者が絞られてきて特定がしやすくなっているのではないか」と分析する。その上で「捜査機関の毅然とした対応とヘイトスピーチをしてはいけないとの世論が相互に作用して、ヘイトスピーチが起こらない社会となるきっかけになってほしい」と話した。