【東京】東村高江周辺の米軍北部訓練場のヘリコプター発着場(ヘリパッド)建設に伴う警備業務に就いていた50代男性が、雇用されていた警備会社テイケイ(東京)に残業代約480万円の支払いを求める労働審判の第1回審理が8日、東京地裁で開かれた。申立人の男性が高江の警備実態を労働審判官らに具体的に説明した。男性は取材に対して、賃金は県外の通常警備の2倍に上るといい、上司からの暴言によるパワハラもあったと証言した。
テイケイ側は誰も出席しなかった。7日に送られてきた同社側の答弁書で、申し立ての棄却を求め、認否や主張は追って準備書面で行うとした。労働審判は原則3回以内の期日で審理される。次回は4月17日午後、テレビ会議で行われる。
男性は名護市内で会社が借り上げた宿舎にほかの警備員と共同生活していた。そこから毎回、市宇茂佐にある会社の沖縄本部が入居するマンションの駐車場に集合させられた。警備にあたる場所ごとに振り分けられた班のメンバーでそろってワゴン車に乗り、高江へ1時間半ほどかけて移動。途中の駐車場で制服に着替えた。車内では「班長」と呼んでいた管理責任者が「携帯禁止、私語禁止、居眠り禁止」と指示していた。
「休憩」とされる時間帯でも、ゲートにある現場事務所のプレハブ内で、出入りする車両のナンバー確認や、各現場からの無線の応答業務があり、その合間に食事するよう求められた。
高江の警備は「沖縄派遣隊」と呼ばれ、時給は、大阪などでよくある、駐車場で車両を誘導する業務の2倍に上ったという。
パワハラの内容については「思い出したくもない」と詳細を語るのを避けた。