水深90メートル 工事例なし 大浦湾軟弱地盤 防衛省「海外でも70メートル」


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 【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に関し、大浦湾一帯に軟弱地盤が存在する問題で、水深90メートルに達する大規模な地盤改良工事は世界的にも例がないことが16日までに、分かった。防衛省は地盤改良策として砂のくいを打ち込む「サンドコンパクションパイル」と呼ばれる工法を検討しているが、同省の担当者は15日、同工法の施工例として「国内では深さ65メートル、海外においては70メートルという実績もある」と述べた。70メートル以上の実績はないと認めた発言で、辺野古の海上工事の難しさがあらためて浮き彫りとなった。

 15日に国会内で開かれた野党合同ヒアリングで防衛省の担当者が説明した。

 安倍晋三首相は国会審議を通じて、辺野古の地盤改良について「一般的で施工実績が豊富な工法」で可能と述べ、施工のたやすさを強調してきた。だが、実際には世界的にも例がない深さでの工事が必要となることになる。ヒアリングに出席した野党議員らは「国内で施工実績のない非常に難しい作業になる」と、答弁に疑念を呈した。

 ヒアリングで防衛省は、サンドコンパクションパイル工法に対応した船は2017年時点で国内で15隻あるが、このうち何隻が水深70メートル以下に対応できるかは確認が必要だとするにとどめた。

 辺野古新基地建設工事では計7万7千本の砂ぐいを打ち込む必要があるとされ、地盤改良工事は想定以上の技術難度と長期化を伴うおそれもある。

 また、今回の工法の検討に当たり、防衛省は「改良工事に精通しているコンサルタントに検討をお願いした」とした。

 野党議員らは工事の検討内容についてコンサルタントが提出した報告書に盛り込まれている可能性があるとして提出を求めたが、防衛省側は拒んだ。