宜野湾市の市街地の真ん中に位置する普天間飛行場=2018年12月8日、宜野湾市

 政府と沖縄県が約束した米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」は、実現されないまま18日に期限を迎える。当初、名護市辺野古の新基地建設と関係なく協議されるはずだったが、政府は県の協力が得られないことを理由に、責任を転嫁する形で運用停止の実現を困難だと主張してきた。

 一方、辺野古沖では軟弱地盤の対応などで工事の長期化は必至となっている。政府が辺野古移設に固執するほど、その大義名分とする「普天間の危険性除去」は遠のき、形骸化していくことになる。
 5年以内の運用停止が最初に具体的に協議されたのは2014年2月18日に首相官邸で開かれた「普天間飛行場負担軽減推進会議」の場だった。同会議の開催は滞っており、玉城デニー知事は今月7日、首相官邸で杉田和博官房副長官と会談した際、会議開催を要望したが、実現しないまま18日を迎えた。

 ■変節

 「普天間飛行場の危険性の除去のために、政府としてはできる努力をしっかりとやってきた」
 岩屋毅防衛相は15日の会見でこう語り、「5年以内の運用停止」が実現できない半面、KC130空中給油機の岩国基地(山口県)移転や、普天間飛行場の緊急時受け入れ先となる航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)などの施設整備に取り組んできたことを強調した。
 だが、これらは「5年以内の運用停止」とは別で、これまで日米が合意したり負担軽減策として打ち出したりしてきたものだ。
 運用停止の定義はもともと、普天間飛行場の「飛行機が飛ばない」状態を指した。だが政府は15年4月にこれを「幻想を与えるようなこと」(当時の中谷元防衛相)として撤回し、定義を“変節”させた。17年2月には安倍晋三首相が衆院予算委員会で「残念ながら翁長知事に協力していただけていない」と述べ、この発言が政府見解となってからは政府の取り組み姿勢もしぼんだ。

 ■膨らむ試算

 県は昨年11月、辺野古新基地建設に要する工費を2兆5500億円と見積もった。
 だが今年に入ってから辺野古の軟弱地盤がより深く、広範囲にわたることが明らかになった。県は試算をやり直しており、その規模は、さらに膨らむ見通しだ。
 13年12月、埋め立て承認を前に「5年以内の運用停止」を政府に求めた当時の仲井真弘多知事は、辺野古移設には最短でも10年程度見込まれるとして、辺野古移設の進展と切り離して運用停止を実現すべきだとの考えを示していた。
 辺野古の地盤改良について政府は3年8カ月の工程を想定する。
 だが地盤改良に対応する国内の船舶の数は限られ、これより長引く可能性がある。県幹部の一人は「(辺野古移設を理由に)普天間飛行場の危険性除去を強調するなら、まず運用停止に向けて努力するべきではないのか」と批判した。 (當山幸都、明真南斗)