「骨髄提供知って」 ドナー経験のあるラジオパーソナリティーの前仲美由紀さん 経験基に情報提供へ 「患者の勇気になる」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 競泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたと公表したのを機に骨髄バンクのドナー登録への関心が高まっている。2016年に骨髄提供の経験があるラジオ沖縄パーソナリティー、前仲美由紀さん(46)は「白血球の型が適合しても、家族の同意がないと提供できない。まずは骨髄バンクがどういうものなのかを知ってほしい」と、提供までの経緯や病気について正確な情報を知ることの必要性を訴えている。これまでもラジオで経験を語ってきたが、池江選手の公表を受け、新しい企画も考えている。

ラジオ沖縄のスタジオでインタビューに答える前仲美由紀さん=那覇市西

 23日午前7時半から放送の「Oyakoらじお」(前仲さんのコーナーは同10時から)で「骨髄バンクを知っていますか」とリスナーに呼び掛け、一緒に考える予定。連動する形で「チャレンジラジオ」でも自身の体験を語る準備を進めている。

 前仲さんは10年にもドナー候補に選ばれたことがある。前仲さん自身は提供に前向きだったが、身を案じる母親に猛反対された。

 骨髄ドナーは手術による後遺症のリスクがあるため、本人だけでなく家族の同意もなければ提供することはできない。母親は「背骨から骨髄を取る」など、誤った情報を基に不安を募らせていたが、前仲さんは時間をかけて何度も説得し、提供に納得してもらった。

 その時は提供に至らなかったものの、2度目に候補に選ばれた際、母親は反対せず、提供に同意してくれた。

 池江選手が白血病を公表する2日前の今月10日、前仲さんはラジオ沖縄の番組で同僚のインタビューに答える形でドナー経験を語っていた。池江選手が所属する「ルネサンス」が自身の番組スポンサーになっていた時期もあることから「人ごととは思えない」と感じ、新しい企画に挑戦することを決めた。

 「話すことが仕事で、ドナー経験もあるあなたがやらないで、ほかに誰がやるの?」という先輩の言葉にも後押しされた。

 前仲さんは「ドナー登録者が増えるのは喜ばしいが、まずは病気のことを知り、家族などと話し合うことが大事。関心の高まりが、病気と闘う患者の勇気になると思う」と話した。
 (稲福政俊)