大城立裕さんに井上靖賞 戦後沖縄文学をけん引


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
大城立裕さん

 作家井上靖さん(1907~91年)の出身地の北海道旭川市などが文化活動で地域や社会に貢献した個人や団体に贈る「井上靖記念文化賞」の第3回受賞者が20日発表され、沖縄県那覇市の芥川賞作家大城立裕さん(93)に決まった。

 大城さんは、戦後の沖縄文学をけん引し、現在も創作活動を意欲的に続けている点が評価された。受賞について「好きなことをやって書き続けてきただけで『けん引』というほどではない。日本の文壇で最近は沖縄の文学が認められるようになってきた。それにいくらかは貢献したかもしれない」と語り、控えめながらも受賞を喜んだ。

 中城村出身で、67年に「カクテル・パーティー」で沖縄初の芥川賞を受賞。昨年には、私小説「あなた」を出版している。

 1990年紫綬褒章、98年琉球新報賞、2000年県功労賞。10年日本演劇協会演劇功労者表彰。15年「レールの向こう」で川端康成文学賞。

 特別賞には、若山牧水記念文学館館長の歌人伊藤一彦さん(75)=宮崎市=が選ばれた。

 賞は、93~2007年度まで井上靖記念文化財団(東京)が主催していた「井上靖文化賞」に代わり、旭川市と同財団が16年度から始めた。

 贈呈式は、5月下旬に旭川市で行われる。