共存願い、不妊・去勢 きょう「猫の日」 沖縄県内約4000例 活動広がる


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2月22日は「にゃんにゃんにゃん」の語呂合わせで猫の日。桜の花びらのように、片耳に切れ込みが入った「さくらねこ」が沖縄県内各地で増えている。野良猫を一時捕獲し、不妊・去勢手術を施して放す「TNR」活動を実施した証しで、今年2月までに約4千匹を数える。増え続ける野良猫を地域で管理できる頭数まで減らし、殺処分ゼロを目指す活動が県内各地で広がっている。

不妊・去勢を施したさくら耳の猫=20日、那覇市牧志

 那覇市では2014~16年は観光地を、17年度から市内全域を対象に、市の予算でTNRを実施している。地域住民が野良猫を捕獲し、手術後に放すことが条件。14年から19年2月21日現在で861匹に実施した。

 公益財団法人どうぶつ基金の寄付金や事業を活用してTNRを実施する自治体や団体も増えた。12年から19年2月までに石垣市、うるま市、浦添市、糸満市などで実施した。耳への切り込みは獣医師によって安全に行われている。

 それでも、野良猫を巡る地域トラブルは絶えない。那覇市環境衛生課によると、1年で600件以上の苦情電話があり、職員がほぼ毎日対応に追われる。猫に過剰に餌やりをする人への苦情が目立つ。一方、餌を放置しないなど、マナーを守った餌やりを認めるよう求める声もある。担当の真栄城敬一主幹は「餌やりの状況や苦情の内容もさまざまで対応はケース・バイ・ケース。むやみやたらに増えないようにまずはTNRを進めることが大切だ」と話す。

 TNRの啓発活動をする畑井モト子さんは「そもそも人間が捨てずに適正飼養をしていれば、野良猫は増えなかったはずだ。猫と共生できる環境を作る責任は人間一人一人にある」と話した。
 (田吹遥子)