辺野古埋め立て反対7割超 今後どうなる? 反論強める沖縄県 埋め立て工事続行する政府


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 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票の投開票が24日、実施された。埋め立て「反対」が投票資格者総数の4分の1を上回る43万票余に達した。県の県民投票条例に基づいて玉城デニー知事が埋め立て中止を求め、安倍晋三首相とトランプ米大統領に結果を通知する。県は政府に対して結果を示した上で再度、埋め立ての中止を求める方針だが、政府は工事を続行するとみられ、対立はさらに深刻化しそうだ。

 辺野古埋め立ての賛否を問うた24日の県民投票は、反対票が昨年9月の知事選で玉城デニー知事が獲得した過去最多得票を上回る43万票余に達し、辺野古新基地反対の民意を明確にした。玉城知事は辺野古で続く土砂投入を止めるため、日米両政府を「対話」の場に引き出す動きを強めていく。投票結果にかかわらず工事を進めると予防線を張ってきた安倍政権だが、大浦湾の軟弱地盤を改良するための計画変更を玉城知事が認めないことは確実な情勢だ。地元の民意を背景に日米合意の移設計画の実現性が揺らぐという新たな局面を迎える。

宜野湾市の米軍普天間飛行場=24日

上京日程を調整へ

 反対票が投票資格者の4分の1を超えたことから、玉城知事は県民投票条例に基づいて安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領に結果を通知する。安倍首相との早期の面談で調整に入るとみられる。25~28日は県議会2月定例会の一般質問で答弁に立つ日程があり、上京は3月となる。米国政府には在日米国大使館を通すことに加え、訪米行動も検討されそうだ。

 1996年9月8日に実施された前回の県民投票では、当時の大田昌秀知事は投票2日後に橋本龍太郎首相と会談している。基地の整理縮小、日米地位協定見直しに賛成が投票者の89%という結果を伝えた大田知事に、橋本首相は振興策を話し合う「沖縄政策協議会」の設置や沖縄振興調整費50億円を予算化することを打ち出した。民意を受けた基地政策の転換ではなく振興策による提案だったが、国と県のトップ同士の関係性を維持した上で沖縄への配慮を示した。

 一方で現在の県政と政府は法廷闘争を前にした緊張関係にある。埋め立て承認「撤回」の効力を失わせて工事を再開させた国土交通相の執行停止決定を巡り、玉城知事から不服申し立てを受けていた国地方係争処理委員会は18日に、県の審査申し出を却下した。再び国を相手取って訴訟を起こすかどうかを県は3月22日までに判断する。

 投票結果に政府関係者は「重く受け止め引き続き移設に理解を得る、と言っていくしかないだろう」と語り、普天間基地周辺の危険性除去を理由に移設を進める安倍政権の方針は変わらないとする。だが、投票率が50%を超える中で反対票が7割を超える大多数を占める結果を受け、地元を無視する政府の姿勢に批判が高まることは必至だ。

投入前に県民大会

 普天間の危険除去という政府の主張に対しても玉城知事は、辺野古移設への固執こそが「普天間を事実上固定化する」との反論を強めている。背景には、安倍首相が1月30日の衆院代表質問で大浦湾側に軟弱地盤が存在することを初めて認めたことがある。

 地盤を改良するための工事は国内で施工例のない深さに及び、工期の長期化と費用がかさむ事態を政府も否定できなくなっている。玉城知事は「普天間の危険性を一刻も早く除去するために『辺野古が唯一』だとする主張は、抜本的に見直す必要がある。一日も早く工事を中止し、沖縄県と対話をしていくことが重要だ」と訴える。

 沖縄防衛局は3月25日から、現在の土砂投入区域に隣接する「埋め立て区域2」にも土砂の投入を始めると県に通知している。

 これを前に玉城知事の支持母体の「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」は、新基地建設断念を求める県民大会を3月16日に開く。オール沖縄会議幹部は「県民投票で示した民意を新たな土砂投入阻止の行動に移す大会になる」と県民投票後の展開を見据えた。
 (与那嶺松一郎)