【糸満】千葉県野田市立小4年の女児(10)が自宅浴室で死亡した事件で、糸満市が母親へのDV(ドメスティックバイオレンス)被害などについて母親に直接聞き取ったか記録にないことが25日、分かった。当時通っていた小学校では母親へのDVなどの情報は校長、教頭、担任の三者にとどまり、養護教諭には伝えていなかったことも明らかになった。市や学校は女児本人にも聞き取りをしておらず、積極的に対応しなかったことがあらためて明らかになった。
同日開かれた市議会の総務委員会と民生委員会の連合審査会で、市と市教育委員会が説明した。
女児の一家は、2017年8月まで糸満市で暮らしていた。母親の親族は同年7月に市の窓口で、母親へのDVと女児へのどう喝を相談していた。
神谷和男福祉部長は「母親が入院中で、本人に聞き取りできなかった」と説明。17年7月下旬に母親の入院先で母親と情報を寄せた親族、医師、市と面談した際に「母親本人が家族4人での同居を強く希望していたため、同居が望ましいと判断した。DVがあったかなかったかというのは、話し合いの中では出てこなかった」と明らかにした。
市教育委員会の大城直之指導部長は学校への再度の聞き取りで、母親へのDVなどの情報が女児と同学年の教諭に「家庭内のトラブル」とだけ伝えられていたことを報告した。養護教諭は家庭内のトラブルについても知らなかったという。大城指導部長は「検証委員会で学校の対応が適切だったか検証してもらい、今後につなげたい」とした。
市は、市や市教委の対応を検証する要保護児童対策地域協議会(要対協)の代表者会議を2月18日、実務者会議を21日に開いたことも報告した。
構成メンバーに福祉部長や教育委員会指導部長ら市当局が入っていることも分かり、市議から中立性や客観性を疑問視する声が上がった。