産廃処理業者が「優しい農業」を実践する理由は? エークリエイト沖縄が野菜収穫祭


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自然栽培で育てたタマネギを収穫する子どもたち=19日、糸満市照屋

 【糸満】産業廃棄物処理と、環境に優しい農業や自然づくりに取り組むエークリエイト沖縄(本社・豊見城市、親川愛莉代表)は19日、営業所や工場がある糸満市照屋で、地域の子どもたちを招いた野菜の収穫祭「第1回ツチノイト大収穫祭・交流会」を開催した。子どもたちは泥だらけになりながら自然栽培のタマネギの収穫を体験し、野菜たっぷりのスープでおなかをいっぱいにした。

 生活環境を汚染せず限られた資源を有効に活用することを目的に、農薬や化学肥料を使わない農業に取り組むエークリエイト沖縄の「ツチノイト・プロジェクト」の一環。

 産業廃棄物処理業者として2016年に設立された同社は、18年に農業部を設置。地域の農家と交流を続け、自然栽培や有機栽培の農業に取り組んでいる。

 今回の企画に、親川代表は「自然を大切にしながら環境を豊かにすることが廃棄物処理業者の使命と考えた。自然栽培の良さを子どもたちにも伝えたい」との思いを語った。

 タマネギを収穫した後、子どもたちはスープに入れるニンジンやイモを型抜きし、白い紙の上に野菜を置いて絵を描く「野菜アート」にも取り組んだ。

 親川咲礼(さあや)さん(8)=糸満小2年=は「タマネギの収穫は初めてだったけど、楽しかった。スープは少し酸っぱいけどおいしい」と話した。平良光希ちゃん(4)は「タマネギが土からすぽっと抜けた。抜けないものもあった」とうれしそうに話した。

 エークリエイト沖縄では現在、コンクリートを破砕し、アスファルトの下地として敷く路盤材への再利用に取り組んでいる。今年は、木くずの破砕機を設置して、産業廃棄物の木材を堆肥として活用する取り組みも始める。

 親川代表は「産業廃棄物を『ただのごみ』と考えている人も多いが、循環型の社会に貢献できるものだと知ってもらいたい。地域とのつながりも広げて、今後も毎年収穫祭ができるように頑張りたい」と語った。