団結道場、装い新たに 沖縄・伊江島 故阿波根さんら拠点


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保存工事が完了した「団結道場」=2日、伊江村真謝

 【伊江】米統治下の伊江村で土地闘争に取り組んだ故阿波根昌鴻さんらが、抵抗の拠点としていた同村真謝の「団結道場」の修繕工事が2月末で完了し、お披露目会が2日、開かれた。村内外から約70人が参加し、完成を祝った。

 「団結道場」は非暴力で取り組んだ土地闘争の歴史や思想を学ぶ場として活用されてきた。1970年に建てられた建物はコンクリートが剝がれるなど損傷が目立ってきたことから、阿波根さんの足跡や伊江島の歴史を伝える「わびあいの里」(謝花悦子理事長)や市民有志が「団結道場保存会」を組織し、寄付金を募り改修にこぎ着けた。寄付には550の個人・団体が協力したという。

 工事は昨年10月に開始し、2月27日に完了した。工事前の内部は板張りだったが、バリアフリーを意識して土間に変更した。わびあいの里の高垣喜三常務理事は「以前は集会や宿泊の場所として活用してきた。今後は展示の場にもしたい」と語った。式典に合わせ、「団結道場」完成当時の写真などが展示された。

 お披露目会では有志らが土地闘争の中で生まれた曲「陳情口説」を三線で披露した。謝花理事長は「学習の場として『団結道場』はつくられた。長い年数の中で(土地闘争に取り組み)亡くなった人もいるが、皆の力できょうの日を迎えることができた。これからも平和の証として村民に役立ててほしい」とあいさつした。

 島袋秀幸村長は「(村民が)沖縄戦はもちろん、戦後も過酷な生活を強いられてきたことは断腸の思いだ。村民や修学旅行生に過去の記憶を伝え、平和のシンボルとして地域活性化につながると確信している」と期待を寄せた。