管理職の女性比率が伸び悩む学校現場。クラスや教科の担任のほか、学年主任や教務主任といった経験が管理職へのステップとなるが、それらを担当する30~40代はまさに子育ての時期だ。女性教諭からはただでさえ労働時間が長く「これ以上業務を増やせない」との声が上がる。家事育児といった性的役割分担が根強い中、両立に苦しみ、キャリアアップに必要な経験を積む機会が失われる現状が浮かび上がる。
クラス担任がほとんどの授業を担当するため「放課後まで座って休憩する間もない」という教員が多い小学校で、女性教諭(40代)は流産を繰り返し「主任にと声を掛けられたが、体のために断った」。高校の女性教諭(47)も「現状で精いっぱい。これ以上業務量を増やせない」と管理職は考えたこともないという。
そのような“女性性”を忖度(そんたく)して「善意ではあるが、屋外での作業や土日の環境整備作業などは『男の先生に』と性別で役割を分ける風潮がある。女性でもできるのに」と小学校教諭(30代)。その積み重ねの先に「この主任は男性」などとキャリアに差が付き、管理職の数にも影響するとみる。
「生徒も半分は女性なのに、管理職が男性ばかりなのはおかしい。生徒の学習環境、女性教諭の労働環境のためにも女性比率を上げたい」と管理職を目指す教諭もいる。美東中(沖縄市)の松田美奈子教諭(48)も管理職を目指すが、条件に挙げるのは周囲の支えだ。「夫や両親が子育てに協力してくれるおかげ」と感謝する。
沖教組女性部長を務めた安次嶺美代子さん(72)は子の看護で休めず、悩み、職場を去る女性教諭を見てきた。休暇制度を求め県教委と交渉したが、男性の担当者は必要性をなかなか理解しない。子どもが病気の時に誰が休むのか聞くと「妻」だという。「女性の社会参画を妨げるのは男性の意識。ささいなことのようだが、自分が使った食器は自分で洗うといった日常の“小言”から言い続けるしかない」と話した。
(新垣若菜)