くらし

虐待受け1本足になった保護猫の琉太郎 癒やし届ける

介護福祉施設で利用者に抱かれてくつろぐ琉太郎(溝口和代さん提供)

 2018年11月、鹿児島市内にある介護福祉施設。満面の笑みを浮かべる高齢者の膝の上で1匹の猫がのんびりとくつろいでいた。猫の名前は「琉太郎(るたろう)」。同年8月、虐待を受け沖縄県恩納村の海岸に遺棄された子猫3匹の1匹だ。何重にも縛られた子猫たちの足は壊死(えし)して骨だけになっていた。琉太郎は足3本を付け根から失った。9月、鹿児島市内でアニマルセラピーを手がける溝口和代さん(51)に引き取られた。現在、セラピーキャットとして介護福祉施設などを回る。人に傷付けられ1本しか残らなかった足を巧みに使って膝に座り、人々に癒やしと笑顔をもたらす。

 溝口さんは元看護師で、現在はアニマルセラピーの会社「まうるーる」を運営し、多くの猫や犬を育てている。琉太郎のことはフェイスブックを通じて知った。琉太郎を引き取る以前にも宜野湾市の公園に捨てられ、保護された猫「ぐくる」を引き取った。ぐくるは下半身にまひがある。溝口さんは「同じ沖縄出身だからか2匹は気が合うみたい」と笑う。

 溝口さんによると、琉太郎は人が大好きだという。「物おじしない性格で、誰がだっこしても穏やか。また連れてきてと引っ張りだこで、みんなのアイドルです」と話す。「脚を縛られているときも遊んでもらっていると思って逃げなかったのかもしれない」


毛布の上でくつろぐ琉太郎(溝口和代さん提供)

 琉太郎の姿を見た誰もが虐待の事実に心を痛め、身近な犬猫を守りたいとの思いを強くする。溝口さんは「動物虐待の現実を世間に認知してもらうのも私の仕事と考えるようになった」と語る。

 県動物愛護管理センターによると、18年8月現在で犬、猫への虐待が疑われる事案が3件発生した。統計を取り始めた15年度には3件、16年度5件、17年度7件と毎年、いわれなき暴力で傷付けられた動物がいる。また、17年度に同センターに収容された犬、猫は計2261匹(犬1007匹、猫1254匹)。そのうち1209匹(犬153匹、猫1056匹)が殺処分された。

 琉太郎の事件は発生当初から県警が動物愛護法違反の疑いで捜査を進めている。県警生活保安課は「情報収集を進めている」とするが目立った進展はない。

 溝口さんは「保護されないまま、表に出ないまま死んでいく動物がいる。沖縄だけの問題ではない。日本中の一人一人が命を守るために行動してほしい」と強く訴えた。
 (佐野真慈)