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歓声響く学びの舎(上) 島々の小学校訪ねて【80歳ナゴマサー 列島歩き】

筆者(後列中央)と怒和島小学校の児童ら

 心が広がる海、心に温もりをもたらす森。日本人の感性が育つ自然に、静かに身を委ねる幸せは言葉にし難い。しかし鳥がさえずる山村は人口が減り、波静かな入り江の漁船も姿を消していく。小学校も姿残せど人影が寂しく、閉校に追い込まれている。瀬戸内海の小豆島には名高い小学校がある。「峠の分教場」こと、苗羽小学校田浦分校だ。木下惠介監督、高峰秀子主演の映画「二十四の瞳」のロケ地となった所だ。資料館として残る校舎の壁の落書きや傷、古いガラスの窓に先生と子どもたちの強い絆が刻まれている。元気な歌声とオルガンの音が夕日とともに静かな瀬戸内に沈む。

 出発前から怒和島小学校を訪ねたいと願っていた。松山市高浜港から2時間。怒和島小学校を知ったのは、2018年7月7日の西日本豪雨で3年生と1年生の姉妹の命を奪ったことが書かれた新聞記事だった。現在、児童は4人。山口斗志校長先生に訪問をお願いしたところ、快く了承してくれた。

 フェリーを降りて人影のない小坂を登ると、視界が開け早秋に輝く瀬戸内海が手に取れた。小山を背に手入れが行き届いた校舎と体育館があった。白浜と運動場を挟んで大きな舞台のようなテラスがある。よく晴れた日に海を眺めながら給食を頂くことがみんなの宝だという。4人の子どもたちが元気な笑顔で迎えてくれた。ほっとした。山口校長、教職員、カウンセラーの酒井千尋さんの優しさ、島民の支えが子供たちに明るさを取り戻した。この学び舎(や)が3月で閉鎖とのうわさが気になる。

 2018年10月 愛媛県怒和島
 (比嘉良治、ニューヨーク通信員)

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 米ニューヨークに在住する芸術家で名護市出身の比嘉良治さんが80歳を迎え、東京都の日本橋から沖縄までの歩き旅をスタートさせました。列島歩きを通して出会う人や風景、出来事をつづります。