国の文化審議会は18日、美術工芸分野で琉球国時代石碑(25基)、伊江御殿家(いえうどぅんけ)関係資料」(146点)、「八重山蔵元絵師画稿類(宮良安宣〈あんせん)旧蔵)」(90点)など沖縄関係3件を含む計41件を重要文化財に、奈良県の明日香村のキトラ古墳の極彩色壁画など3件を国宝に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。
美術工芸品の重要文化財は1万772件(うち国宝893件)となる。
琉球国時代の石碑のうち、最古は第1尚氏の尚巴志時代にあたる1427年の「安国山樹華木記之碑(あんこくざんじゅかぼくきのひ)」で、現在の首里城そばにある園比屋武御嶽(そのひやんうたき)の近くにあったとされる。紙史料が少ない中、貴重な文字史料となっている。現在は、県立博物館・美術館に保管されている。
また、伊江御殿家関係資料は、第二尚氏第4世王・尚清王の7男、伊江王子朝義を祖とする尚家の分家の王族で、首里王府の要職を務めた11世朝忠(朝直、1818年~96年)にかけて伊江御殿家に歴代伝わる辞令書や家譜、文書記録類などの歴史資料。琉球国の政治史、文化史において価値が高い点が評価された。
八重山蔵元絵師画稿類は、八重山の絵師が豊年祭や風俗、漂着船の記録などを描いた画稿類の資料で、19世紀後半の第二尚氏時代から明治時代にかけて描かれた。当時の八重山の文化や自然、出来事を知ることができる。八重山地域初の美術工芸品の重要文化財の指定となる。
琉球国時代の石碑や文書類の資料、絵画類は、沖縄戦で多くが消失しており、現存する資料は当時のことを知る重要な手がかりとなっている。【琉球新報電子版】