改元詐欺、気を付けて 県内でも79歳女性被害


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母親が被害に遭った改元詐欺について語る息子=22日、那覇署

 5月の元号改正に伴い、「キャッシュカードを変更する必要がある」として、封書で金融機関の口座番号や暗証番号を求める新たな手口の特殊詐欺が県内で確認されている。那覇市の1人暮らしの女性(79)は2月上旬に口座番号などを記載して返送したが、3月に注意啓発を呼び掛ける新聞記事を読んで被害に遭ったことを知った。女性の息子(43)=那覇市=が金融機関へ連絡し、口座を凍結したので実害はなかった。22日、息子が那覇署で報道陣の取材に応じ「一人でも多くの人が被害に遭わないように気を付けてほしい」と話した。

 息子によると、2月上旬に「一般社団法人全国銀行協会」をかたった青い封書が女性宅へ届いた。封書内には「改元に伴い、銀行法が改正されキャッシュカードを変更する必要がある」などとして、個人情報の記載を求める書類が2、3枚入っていた。女性は口座番号や支店名、暗証番号を書き、銀行印も押して同封されていた返信用封筒で返送した。

 息子は「母は単純に『あ、そうなんだ』と誰にも相談せずにそのまま返送してしまった」と話した。女性は3月9日付の県内紙に掲載された「改元詐欺」への注意を呼び掛ける記事を読んで、自らが被害に遭ったことに気づいた。書類の返送から1カ月近くたっていた。

 息子は「気づかないことが一番怖い。母も報道を見るまでだまされていることに気づかなかった。他の人も気を付けてほしい」と注意喚起した。県警によると、22日までに他の改元詐欺の被害情報は入っていない。