宮城能鳳さん芸術院賞 県内初 組踊立方、継承に寄与


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国立劇場おきなわの開場祝賀公演で「執心鐘入」を演じる宮城能鳳さん=2004年1月18日、浦添市の国立劇場おきなわ

 日本芸術院(黒井千次院長)は22日付で、優れた芸術家を表彰する2018年度日本芸術院賞の受賞者8人を発表し、県内から組踊立方の人間国宝・宮城能鳳さん(80)=与那原町=が選ばれた。県内からの受賞は初。「組踊における卓越した技法による舞台表現と継承発展に寄与した功績」が評価された。授賞式は6月下旬に東京都の同院会館で行われる予定。

 能鳳さんは「私でいいのだろうかと思うが、非常に栄誉なことだ。苦労して芸能を継承された先師先達(せんだつ)のおかげだ。今後も若手の育成に励みたい」と語った。

 同院は授賞理由について「女方の持つ優美華麗さと沖縄芸能独自の品格を誇り、端麗にして繊細さの中に強靱(きょうじん)さを秘めた芸風を確立」していることや「後進の養成に尽力」していることを挙げた。

 能鳳さんは1938年生まれ、旧佐敷村(現南城市)出身。本名は徳村正吉(まさきち)。初代宮城能造に師事。90年から県立芸術大教授を務め、2004年に客員教授、07年に名誉教授。05年から国立劇場おきなわの組踊研修の立方主任講師。06年に重要無形文化財「組踊立方」保持者(各個認定)=人間国宝=に認定。09年に重要無形文化財「琉球舞踊」保持者(総合認定)に認定され、15年から琉球舞踊保存会会長を務める。13年に琉球新報賞。宮城本流鳳乃会(おおとりのかい)家元。

◆用語 日本芸術院
 美術、文芸、舞台芸術など各分野の優れた芸術家をたたえる機関。院長1人と終身の会員120人以内で構成する。会員は功績の顕著な芸術家を対象に、同院によって選ばれ、文部科学大臣によって任命される。同院の授賞制度は1941年度に帝国芸術院賞が創設され、47年度から日本芸術院賞となった。49年度には恩賜賞が設けられた。授賞候補者は同院会員によって推薦され、会員でつくる選考委員会が選考し、総会の承認をもって決定される。第1回から今回までに恩賜賞は126人、日本芸術院賞は661人が受賞している。