名桜大学(沖縄県名護市、山里勝己学長)は1日、琉球文学を「文学」「歴史」「民俗・地誌」の3領域で、作品に注釈や解説を付けたテキストとしてまとめる「琉球文学大系」(全35巻)の編集刊行事業を開始すると発表した。同大学などによると、約120年にわたる琉球文学研究の中で、琉球文学全体を体系的に整理し、研究者だけでなく琉球文学に関心がある一般の人にも分かりやすくまとめる事業は初めて。2019年度から30年度まで12年間で計約1億5千万円の予算をかけて完成させる計画だ。
県内外へ発信するため、大手出版社との連携も目指す。学内外の専門家24人が執筆予定。若手研究者も編集に加え、後継者の育成にもつなげる。
名桜大創立25周年や公立大学法人化10周年、大学院で国際地域文化専攻の博士後期課程を開設したことを記念し取り組む。「琉球文学大系」編集刊行委員会の名誉委員長を務める山里学長や編集刊行委員長の波照間永吉さん(県立芸術大学名誉教授)、編集を担う委員らが同日、名桜大学で記者会見した。1巻で約450ページ(A5判)、約500部ずつの発行を想定している。
山里学長は「今の時期に取り組まなければ(同様の事業は)できなくなるとの危機感がある。100年後まで文化の基盤となるものを残しておければと思う」などと強調した。
編集刊行委員長の波照間さんは「例えば漢文は(一般の人は読み解けず)一部の学者のものになっている。注釈や解説を付けて一般の方々にも手に取ってもらえるような利用しやすいものにしていきたい」と語った。