【ブラジル】与那嶺さん名誉勲章 サンパウロ州議会 元県人会会長


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サンパウロ州議会の代理で元市議会議員の神谷ウシタロウさん(左)から名誉功労章を授与される与那嶺真次さん(中央)=7日、ブラジル・サンパウロ市のブラジル沖縄県人会会館

 元ブラジル沖縄県人会会長で県系3世の与那嶺真次さん(68)が、母県との関係強化に長年取り組んできたことが評価され、サンパウロ州議会から名誉功労章を授与された。7日、サンパウロ市の県人会会館で授章式が開かれ、県人会やWUBブラジル、日系団体の関係者、元県費留学生ら大勢が駆け付け、与那嶺さんの受章を祝った。与那嶺さんは「とても感動した。友人の皆さんに感謝します。コミュニティーで皆を友情の絆でつなげていくことができた」と話した。

 与那嶺さんは、県費留学生として沖縄県に1年滞在し、帰国後の1983年に若者の居場所「青壮年会」を、95年には県留学生や研修生のOBでつくる「うりずん会」を創立した。ブラジル沖縄文化センターの会長を務め、2008年の移民100周年の際には県人会との統合に尽力。11、12年に沖縄県人会会長、05年にはWUBインターナショナル会長を務めた。沖縄県民間大使のほか1980年代は琉球新報の通信員もしていた。

授章を祝い乾杯する与那嶺真次さん(前列右から7人目)と参列者ら

 名誉功労章は、州議会が授与する勲章として最高位のもので、県系人では与那嶺さんが初めて。昨年12月のサンパウロ州議会定例会で発表され、キクドメ・ペドロ・マサミ州議員が推薦した。

 式典には、県人会会長の上原サダオさんをはじめ、元会長の与儀昭雄さん、WUBブラジル会長の知花ルイさん、サンパウロ市議の大田真孝さん、日伯文化連盟の大城幸雄さん、ブラジル日本文化福祉協会会長の呉屋春美さんら多くの列席者が与那嶺さんの功績をたたえた。

 元市議会議員の神谷ウシタロウさんは「与那嶺さんは、国内や海外の各団体で大きな影響を与えた。ブラジルと沖縄の懸け橋となり、伝統と文化を普及してきた。目に障害がありながらも、くじけずに感謝の気持ちを持ってブラジルの至る所で活動を続けてきた」と称賛した。知花さんは、与那嶺さんからドキュメンタリー撮影のためにBEGINが来伯した際に、コンサートを行うアイデアをもらったエピソードを話した。「一度も屈する姿を見たことがなく、コミュニティーのために尽くしてきた。真次さんのような友人がいて誇りに思う」と語った。

 県人会パトリアルカ支部評議会会長の亀谷パウロさんは「沖縄の伝統に詳しく、知識や経験を皆に、特に若者に与えてきた。沖縄の伝統・文化の伝道師だ」と強調。呉屋さんは「必要としている人がいればどんなことだろうと、手を差し伸べてくれる」と評した。

 与那嶺さんは県人会長在任中に視力が悪化し、その後視力を失ったが、多くの人の助けがあったとした。「皆さんに感謝します。皆は光のような存在です。視力を失った時、闇から光に変わった。今日は孫や娘、家族をつくった恵子さん、そして私の道を照らしてくれるシージャがいてうれしい」と話した。
 (城間セルソ明秀通信員)