山中氏、再生医療語る シンポ出席、きょう講演も


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「iPS細胞を活用した応用研究はまだ折り返し点」と語るノーベル賞受賞者の山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長=24日、那覇市のパシフィックホテル沖縄

 那覇市医師会と京都大学iPS細胞研究所共催のシンポジウム「iPS細胞がつくる未来の健康」が24日、那覇市のパシフィックホテル沖縄で開催された。ノーベル賞受賞者の山中伸弥所長ら3人の講演に続いて、会場からの質問に講師が答えるセッションが行われた。事前申し込みをした約650人が熱心に耳を傾けた。

 「iPS細胞がひらく新しい医学」と題して講演した山中所長は、父親が輸血によってC型肝炎になったことがきっかけに医師を志したと説明。治療法が見つからないまま父親は1988年に58歳で亡くなった。「治せない病気を将来治すにはどうしたらいいかと考え、医学研究者を志した」と振り返った。

 C型肝炎ウイルスは89年に発見され、特効薬の開発までに25年かかった。山中所長は「これは医学の勝利だが、同時に二つの問題が明らかになった。治療法の開発に時間がかかりすぎることと、治療費が高価なことだ」と指摘し、iPS細胞研究でも課題だと述べた。解決策として、他人に移植しても拒絶反応がない人の細胞を使った「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」を進めていることを紹介した。最後に「この技術ができて12年、まだ折り返し点だ」とし、未来の治療法のために研究を推進する決意を語り、締めくくった。

 ほかに、同研究所の吉田善紀准教授が心疾患の新しい治療法の開発について、豊田太郎講師が膵臓(すいぞう)の再生研究について講演した。

 山中所長は25日に那覇市泉崎の琉球新報ホールでも講演する。主催は沖縄科学技術大学院大学(OIST)と琉球新報社。午後1時開場、2時開始。聴講券は抽選の当選者に配布済み。