ホーム無敗神話、支える女神たち J2首位快走のFC琉球とチアリーダー


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
FC琉球の活躍をファンと共に支える琉球ボンバーズ=10日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 サッカーJ2で開幕4連勝し、現在5戦負けなしのFC琉球。加えて2017年のJ3時代からリーグ公式戦24戦負けなしの「ホーム無敗神話」を突き進む。球団によると、J1浦和レッズが持つ25試合連続(天皇杯を含む)がJリーグ無敗最長記録だ。30日はホームでレノファ山口FCを迎え撃つ。快挙にあと一つと迫るチームにとって公式チアダンスチーム「琉球ボンバーズ」の存在は大きい。06年のJFL(日本フットボールリーグ)参入から琉球を支え、パワフルなパフォーマンスでスタジアムを盛り上げる。 

 ボンバーズの代表、吉田邦彦さん(52)は元々、タレントのビビアン・スーさんのCMの振り付けなど、台湾でダンサー兼振り付け師として活動していた。そのころ月に1度沖縄に通ううちに、沖縄に魅了されていき「県内スポーツを盛り上げたい」と思うようになった。テレビ関係者との縁で琉球の野口必勝代表(当時)に出会い、06年に琉球を応援する専属のダンスチームが誕生した。

 8千人近くが駆け付けた今季のホーム開幕戦(2月24日)。英ロックバンド「クイーン」の軌跡を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」の世界的ヒットを受け、クイーンの楽曲をアレンジした曲とダンスを試合前とハーフタイムに披露。ユニホームも、立ち上げ当時のベンガラ色の衣装を着て、関連のチームを合わせ100人以上が躍動、観客と一体となり選手を後押しした。

 今ではボンバーズを知らない琉球ファンはいないほどだが、設立当初は苦労もあった。吉田さんが指導していたエアロビクスの女性インストラクター6人からスタート。JFL開幕の3カ月前で、練習場所もなく、金融機関の駐車場を使い練習に打ち込んだ。

 記念すべき「デビュー戦」の開幕戦、7千人ほどが応援し盛り上がったが、チームの成績が低迷すると県民の関心はどんどんと離れていった。観客は500人ほどまで減り、ふがいない試合内容にはやじが飛んだ。しかしそんな時こそ「エンターテインメントを味わってもらいたい。楽しんでほしい」と明るいパフォーマンスで会場の暗い雰囲気を吹き飛ばし続けた。

 現在は那覇市首里のダンススタジオ「BEAT jAM」に通うメンバーを中心に下部組織を含めた25人で構成する。春、夏、秋の3回、楽曲とダンスを変え、観客を飽きさせない努力をする。吉田さんは「琉球がJ1に上がった時は日本を背負えるようなダンスチームしたい」と展望する。リーダーのHINANOさん(山城ひなの、首里東高2年)は「苦しい試合でも、笑顔で応援したい」と選手の後押しを誓う。選手、ファン、そしてボンバーズが一つになり新ステージで戦い抜く。(喜屋武研伍)