警備会社 給与未払いか 「辺野古海上」受注 日報に一律「休憩」 労基法違反疑い


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設工事で、海上警備を受注するセントラル警備保障(東京都)が従業員に対し、実際の勤務状況にかかわらず日報に一律の「休憩時間」を記入させ、その分の給与を支払っていないことが29日までに分かった。関係者によると、従業員の一人は残業代未払いとして社に請求し、応じない場合は法的措置も検討するとしている。

 労働問題に詳しい喜多自然弁護士は「実際の作業がなくとも事案発生や指示があれば対応しなければならない『手待ち時間』は労働時間扱いとなり、給与を支払わなければならない」として労働基準法違反に当たる可能性を示唆した。発注している沖縄防衛局に対し「受注業者が法令を守っているかチェックする責任がある」と指摘した。

 関係者によると、会社側は従業員に対し、24時間勤務の際には昼4時間、夜4時間の計8時間を休憩として給与計算すると伝えているが、実態には合致しないとの声が従業員から上がっている。実際は乗船している数人が交代で休憩を取れたとしても、2、3時間程度にとどまるという。

 日報には8時間の休憩を取ったことにする「記入例」があり、ある従業員は「例と書かれているが、その通りに書き込むよう促されている。最初はこの8時間分も特別手当として支払われたが途中からなくなった」と語る。別の従業員は「夜も交代で警戒しなければならず、何かあれば対応しなければならない」と説明した。

 本紙の取材にセントラル社は「お答えしかねる」、沖縄防衛局は「個別の企業に関することで、当局としてお答えを差し控える」と述べるにとどめた。

 過去に海上警備を担っていたマリンセキュリティーは長時間労働や残業代未払いで労働基準監督署の指導を受けた。マリン社の関係者によると、船上にいる時間の一部を休憩として扱っていることも問題視された。東村高江でのヘリ発着場建設に伴う警備業務では、従事していた男性が警備会社テイケイに残業代約480万円を支払うよう求めて提訴している。