本部町「対応に限界」 国と裁判する力ない 岸壁使用許可 県が判断一任


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 【本部】4月1日にも辺野古への土砂搬出が再開する本部港塩川地区は県管理の港だが、本部町が岸壁と荷さばき地の使用許可業務を受託している。県は台風で破損した港の修復工事を進めたが、岸壁の使用許可については「判断について県からの通達はしていない」(港湾課担当者)として本部町に判断を一任していることを強調した。

 塩川地区では昨年9月の台風24号で半数の岸壁が破損した。このため町は県と協議し、新規の岸壁使用許可申請は受け付けないことを決めた。昨年11月、辺野古への土砂搬出の担当業者は複数回にわたって使用許可申請を受け付けるよう町に迫ったが、町側は岸壁の破損などを理由に応じなかった。

 県による港の修復工事が完了する見通しが立ったことから、町は3月上旬に受け付けを再開。辺野古に土砂を搬出する業者も含めて、申請のあった46件に使用を許可することを29日に連絡した。

 この間、2月には辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票があり、有効投票の72・15%が反対だった。だが、町幹部は「制度を運用するのが行政」とした上で「市町村では対応に限界がある。県のように(国と)裁判闘争をする力は町にはない」と明かした。

 一方、新基地建設阻止を掲げる玉城県政だが、今回の対応は本部町への文書通達などにとどまった。県が使用許可権限を持つ国頭村の奥港でも、県は2017年9月に新基地建設に伴う石材搬出のための使用を許可していた。

 県の担当者は「港湾使用許可に関係する港湾法が不平等な取り扱いを禁じている」として岸壁使用申請を不許可にするのは難しいとの考え方を説明するが、新基地建設に反対する市民から批判が集中した経緯がある。本部町の判断に委ねた使用許可についても、県の対応に市民の不満が寄せられそうだ。