米軍普天間飛行場周辺の航空機騒音に関し、2018年度に沖縄県宜野湾市に寄せられた苦情は684件に上り、苦情受け付けを始めた02年度以降、過去最多となった。18年度の件数は17年度分より5割多く、120デシベルを超える爆音も記録された。苦情件数は5年連続で増え続け、地上デジタル放送への移行で受信障害に対する苦情が殺到した11年度の549件を上回った。12日で普天間飛行場の全面返還が合意されて23年を迎える中、周辺住民への基地負担が精神的にも物理的にも限界を迎えている現状が改めて明らかになった。
最新鋭ステルス戦闘機F35Bなど、訓練のために外来機の飛来が増加したことなどが要因とみられる。夜間飛行に伴う苦情が多く、早朝・夜間の訓練を制限する騒音規制措置(騒音防止協定)が形骸化している実態が浮き彫りになった。周辺住民は「ヘリが旋回して非常にうるさい」「夜飛んでいてメンタル(精神)をやられている」などと訴えている。市は24時間、基地被害に関する苦情を受け付けている。
沖縄防衛局の目視調査によると、外来機の離着陸は18年4月~19年2月までで1455回。調査を始めた17年度より1040回多い。市によると、年間の騒音発生は1万2152回(17年度、宜野湾区)。18年度で最も大きかった騒音は上大謝名区で昼間123・7デシベル、夜間100・1デシベルだった。120デシベルは飛行機のエンジン近く、100デシベルは間近で聞く救急車の警笛音に相当するとされる。
日米両政府は1996年4月12日に「5~7年以内」に普天間飛行場を全面返還することで合意した。だが、県内移設への反発は根強く、23年経ても同飛行場は継続使用され、所属機による事故が相次いでいる。政府は「唯一の解決策」だとして辺野古移設工事を進めているが、県は辺野古移設では早期返還につながらないとして県外・国外移設を求めている。