首里城公園の企画展「王家の秘宝展」が12日、那覇市の首里城正殿黄金御殿(くがにうどぅん)特別展示室と書院で始まった。7月2日まで。王家に伝わる美術工芸品など21点を展示している。このうち、中国人絵師の孫億(そんおく)が1697年に描いた絵画「花鳥図(三幅)」は琉球国王が執務室として使う「書院」に飾られていたとみられる貴重な作品。沖縄美ら島財団が収集し、3年間かけて調査研究や保存修理を実施した上で今回、初めて公開した。
17世紀後半から18世紀前半に活躍した孫億は、中国に留学した琉球の絵師たちにも技術を伝えた。琉球の絵師らがその技術を持ち帰り、伝統工芸の紅型や漆器のデザインにも大きな影響を与え、現在につながっているという。
企画展ではこのほか、王家の隠し紋様として「天」の字が彫られた刀剣「青貝巴紋散合口拵(あおがいともえもんちらしあいくちこしらえ)」や、食べ物を盛る容器「東道盆(とぅんだーぼん)」など精巧な細工が施された工芸品も展示している。国内外の来場者が興味深げに見入っていた。
首里城公園で学芸員を務める上江洲安亨さんは「王家の貴重な美術品を見てほしい。国王が執務をしていた書院も見て、当時の生活感も感じてほしい」と多くの来場を呼び掛けた。