「今も人の目を気にして生きている」 ハンセン病家族訴訟 原告が語る差別、偏見


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ハンセン病家族訴訟を支える集いで、差別偏見と闘っている県民がいることを訴える元患者の家族ら=14日、那覇市泉崎の県立図書館

 5月31日に熊本地裁で判決を迎える「ハンセン病家族訴訟」を支える集い(同訴訟原告団・弁護団など主催)が14日、沖縄県那覇市泉崎の県立図書館で開かれた。原告であるハンセン病元患者の家族らが、元患者と同じように差別や偏見の被害を受けてきた実態などについて語り、国だけでなく社会全体の責任も問い掛ける判決になることを願った。

 裁判は国が長年続けたハンセン病強制隔離政策のため患者本人だけでなく家族も深刻な偏見や差別を受けたとして、元患者の家族が国に謝罪と損害賠償を求め2016年2月に提訴した。原告は561人で県内からは約4割の約240人が参加している。

 集会では弁護団共同代表の徳田靖之弁護士が訴訟の意義などについて説明したほか、県内原告4人が自身の経験や思いを語った。

 徳田弁護士は国がハンセン病を恐ろしい病気と広めた結果、元患者と家族も差別を受けたと国の責任に言及。家族というだけで就職や結婚などに悪影響を及ぼした事例を紹介し「社会の加害責任も明らかにしなければならない」と強調した。 県内原告が最も多い状況に「差別偏見が深刻であることを意味しているのではないか。この問題を県民に知ってもらうことがハンセン病を解決していく上で大切なことだ」と話した。

 県内原告の60代女性は「依然として差別はある。原告になった人たちが名前を明かせていない。なぜか。受けてきた被害があるからだ。今でも人の目を気にして生きている」と苦しい胸の内を明かし「非を認めない国に憤りを感じる。この歴史を残してほしい。みんなに分かってほしくて原告になった。思いを分かって支援してほしい」と訴えた。

 50代男性は「差別で苦しむ人が一人でも減ってほしい。私たちの思いを理解し、多くの人に伝えてくれることをお願いしたい」と呼び掛けた。