「いっぺー上等さー」 FC琉球が110歳、沖縄最高齢男性にユニホームを贈呈


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プレゼントされたFC琉球のユニホームを身に付け、笑顔でボールを投げたり蹴ったりして遊ぶ津波蒲戸さん(前列中央)=15日、読谷村座喜味

 【読谷】サッカーJ2のFC琉球の関係者が15日、沖縄県読谷村座喜味の地域密着型介護老人福祉施設「紅華の森」に入所する県内男性最高齢の津波蒲戸(かまど)さん(110)を訪ね、クラブのユニホームを寄贈した。真新しいえんじ色のユニホームに袖を通した津波さんは「いっペーじょーとーさー」と満面の笑み。小さいサッカーボールを手渡すと力いっぱい投げたり、立ち上がって蹴ってみせたりと、持ち前のサービス精神で入居者や施設職員らを笑顔にした。

 報道で蒲戸さんのことを知ったクラブは、蒲戸さんと同じ村出身の儀保幸英選手(23)も所属していることからユニホームの寄贈を申し出た。この日参加できなかった儀保選手は電話取材に「故郷にこんな素晴らしい方がいることを誇りに思う」と述べた。

儀保幸英選手

 蒲戸さんは1908(明治41)年生まれ。四女の知花ヨシ子さん(74)によると目の前に爆弾が落ちたという激戦を生き延び、戦後は嘉手納基地で車の塗装工などをして60年以上働き、6人の子どもを育て上げた。現在は目はほとんど見えず耳も遠くなっているが、大好物のサーターアンダギーと肉料理を食べる時が何よりの幸せだという。

 ヨシ子さんは「無口だけど優しくて、何事にも一生懸命な人。年を重ねるごとに元気が増していくさ」と笑う。明治、大正、昭和、平成と四つの時代を駆け抜けた蒲戸さん。元号が「令和」に変わった後の6月10日には111歳の誕生日を迎える。
 (当銘千絵)