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賃貸の空室「ゼロ」 建設ラッシュ、単価高騰 宮古島バブル(3) 〈熱島・沖縄経済〉3


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ホテルや民間アパートなどの建設ラッシュが相次ぐ宮古島市内=2018年12月、宮古島市の伊良部島

 「紹介できる部屋はないと、ずっと断っている」。宮古島市内の不動産業者はアパートなど賃貸物件の空室がない状態が続く現状を一様にこう嘆いた。観光客増加に伴いホテルで働く従業員らの住居として需要が高まっており、供給不足による「空室ゼロ」が生まれ、この状態が1年も続いている。

 宮古島市内のホテル・旅館数は2017年末現在、46件、2432室。少なくとも18年は4件180室、19~20年は10件、計1531室のホテル計画が進められている。ホテルの増加は雇用増に直結する。ホテルは一般的に客室数の8割に相当する従業員が必要と言われており、180室で144人、1531室で1224人の雇用が新たに必要になる計算だ。

 失業率が高い地域であれば新たな雇用創出の好機だが、宮古経済は空前の好景気。宮古管内の有効求人倍率は1・84(18年10月)で、全国の1・62をも上回るほど高い。市民だけでは不足するホテルでの働き手は島外からの移住者らを必要としており、アパートなど住居の建設ラッシュが進んでいる。

 ただ、建設スピードが需要に追い付かず、新築物件は完成前に入居が決まり「(大家さんには)満室での引き渡し」(市内不動産業界関係者)となっており「空室ゼロ」の状態が続いているという。そのためホテル従業員の住居が見つからず、一時的にホテルの客室に寝泊まりする例も出ているという。

 宮古島市内はホテルや住居だけでなく各地で建設工事が進められている。図書館と公民館機能を併設する未来創造センター、下地島空港旅客ターミナル、陸上自衛隊宮古島駐屯地、平良港のクルーズ岸壁など公共工事から民間事業まで多岐にわたる。

 そのため、土木、建築、電気設備など建設作業員も不足しており島外各地から人をかき集めている状態で人件費上昇を招いている。さらに生コンクリートや砂利など資材は輸送費も重なって高騰し、建設工事の坪単価は150万円を超えたとも言われている。

 県建設業協会宮古支部によると、単価の調査は実施していないが、単価は上昇しているという。不動産業関係者からは「大企業や公共工事ならいいかもしれないが、一般にも広がれば弊害だ」と危機感を募らせた。

(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太)

(琉球新報 2019年1月16日掲載)