【ニューカレドニア】オムレツで友情つなぐ 県系レンヌさん 名物祭り35年参加


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巨大オムレツ作りに参加する県系3世のレンヌ・マリー・シュノーさん

 県系3世のレンヌ・マリー・シュノーさん(70)は、夫のクリスチアンさんと共に35年間、「オムレツ祭り」の目玉イベントである巨大オムレツ作りに参加している。毎年4月に行われるダンベア市のオムレツ祭りは、ニューカレドニア各地から2万人が訪れる街の名物行事。レンヌさんは、オムレツ作りを通して仲間との友情が育んでいる。

 レンヌさんの祖父、座安正春さんは豊見城出身で、1877年に沖縄から移住した。父の座安ヴィクトールさんは生涯、「沖縄の血」を誇りにしていたという。レンヌさんは「光子」という日本名も持ち、父親の影響で自身のことを「ウチナーンチュ」と言っている。現在は沖縄日系人会副会長も務める。

 レンヌさんは1996年に退職するまで、看護師として働いた。現在住む首都ヌメア近郊の人口3万人余りのダンベア市の市議を1989年から現在に至るまで務めている。

 オムレツ祭りは1984年にフランスのベルシエという村から伝えられたと言われている。ダンスやコンサートもあるが、祭りの目玉は巨大オムレツだ。レンヌさんはオムレツを作る会に1985年から参加する。直径3・5メートルの特注のフライパンで1万個の卵、12リットルの油を使い、オムレツ(スクランブルエッグ)を焼き上げる。オムレツは、フランスパンを付けて訪問客に振る舞われる。その数、4千箱にもなる。

 オムレツの料理人たちはコック帽で高級シェフのいでたち、名誉ある役割で祭りの顔となっている。作る会は親から子へさらに孫へと受け継がれている。レンヌさんは「会のおかげで多くの人との出会いと交流が楽しめる」と笑みを浮かべた。

 (山田由美子通信員)