沖縄国際映画祭の開催や沖縄ラフ&ピース専門学校の開校など、沖縄を拠点とした活動に取り組んできた吉本興業が、NTTと連携したプラットフォーム事業「Laugh&Peace Mother(ラフ&ピース マザー)powered by NTT Group」の展開を発表した。新会社を立ち上げ「遊びと学び」をコンセプトにした映像コンテンツなどを国内外に発信する事業に着手する。吉本興業の大﨑洋会長に、今後の展望や沖縄への思いなどを聞いた。
―新事業立ち上げの経緯や思いは。
「近年、ネットフリックスやアマゾンプライムなど動画配信事業が注目を集めている。しかし国内を見渡すと、これらに肩を並べるサービスは育っていない。日本から世界にコンテンツを発信するプラットホーム事業を立ち上げ、ドラマやアニメ、バラエティー、ドキュメンタリーなどさまざまな分野で展開し、特に教育分野に力を入れる。(NPO法人CANVASと連携し)『遊びと学び』をテーマにしたワークショップを全国で実施しているが、これを映像で配信しつつ、新会社内に体験型の施設も常設する予定だ」
―沖縄でさまざまな事業を展開している理由は。
「ダウンタウンの松本人志が『大日本人』という映画を作った際、カンヌ国際映画祭に関係者20人ぐらいで行った。こんなお祭りを日本でもやりたいと考え、やるならリゾート地がいいだろうと沖縄での開催を決めた。歌や踊りが好きで、戦争の体験から平和を大切にする沖縄の人々とその歴史文化、DNAみたいなものが映画祭開催地の土壌として親和性が高いと思った。基地問題とか難しいことは分からないけど、こういった取り組みを続けることで何らかの解決の糸口が見えるかもしれない」
「実は沖縄での事業実施について、30年ぐらい前から新会社を立ち上げようという案はあったが『内地の人間が沖縄で何をするのか』という感じで、最初はなかなか相手にされなかった。少しずつ関係を築いて2009年に映画祭を始め、昨年には専門学校も立ち上げた。新会社は専門学校で育てた人材を雇う受け皿としても機能させたいし、その人たちが映画作りに携わって映画祭に作品を出せたらなおいい。そういう意味では映画祭も、学校も、新会社も垂直につながっている。できれば大学まで作りたいと思う」
―今後の展望をどう描いているか。
「新規事業の計画を早急に固めて進めていく。ネットフリックスを超えると言いたいが、そこまでは難しいかもしれない。ただ『遊びと学び』のコンテンツは十分世界に通用すると確信している。沖縄をエンターテインメント産業創出の島にし、日本の素晴らしいものを沖縄から世界に発信していきたい」
(聞き手 外間愛也)